スーツ浮き(気泡)直し参考価格 2015年5月現在(税抜き)
今回のジャケット 12000円
形状記憶(」D樹脂加工)加工後、剥がれた芯地にもう一度接着までさせて頂きますが、
芯地の剥がれによる浮きは接着剤の劣化です。
芯地を取り変える訳ではなく、解かずに表面からの加工です。
根本的な修理は芯地の取り換えとなりますが、今現在お受けしておりません。
おしゃれ工房You友(ゆうゆう) 大友眞吾です。
今回は
画像枚数29枚!と言う大作です!(笑)
スーツを水洗いするお店が増えたと同時にかなり出ているであろうと思われる事例です。
加工のテスト、改良後のテストまでを、今後のご説明に使える資料を作る目的で画像を撮り・・・
困っている方がすぐにWEB上でご覧頂けるようブログでご紹介です^^
以前、当店で水洗いをしたジャケットに出てしまった酷い浮きの記事をご紹介しましたがアクセス数が凄かったんです。
かなり出ているのでは?と思いながらご紹介したのですが、反応が凄かったってことはやはり出ているんだなっと。
浮きの出る詳しい原因は右を参考に!
ジャケット型崩れ修復~ポコポコした気泡のような浮き直し~
スーツ水洗いによる型崩れ修復右をクリック!
スーツ水洗い~水洗いされたスーツの型崩れ修復~
ドライクリーニングでも出てくる現象なのですが、水洗いすると一気に出てくることが多く、型くずれしてしまったスーツも多数観ています。水洗いによる変化や不具合、型崩れは実際かなり多く出ていると思います。
このスーツも、お客様が何軒もクリーニン店へ相談し無理と断られ当店へご相談下さったのですが、個人で経営されているお店では大手の安いクリーニング店へだすとこうなることがある、と言われたとのこと。
これは違いますね。確かにクリーニングしたことで出てしまった浮きですが、根本の原因は接着されている芯の寿命です。
今回は水洗いをされたわけではないとのことでしたので、どのお店で洗っても少なからず出てしまったと思います。
当店でも時折浮きが出てしまっているものを見かけますが、酷くないものであれば手仕上げしていくことで直すことができます。
だからお客様は気がついていないだけで、、毎回当店へ依頼してくだされば問題はないのですが、宅配でお送り頂く服はそうは行きません。
だから、浮き直しが少しでも長持ちする方法を探していました。
その方法とはポコっと浮いた部分を平らな状態を維持するよう形状記憶をしてしまうという加工法。
テストしてみると、まだ足りない・・・
と言う事で形状記憶した生地に変化が出ないよう芯地にもう一度接着させてみよう、と改良。
まだ試作段階なので、浮き直しは一通り型崩れを修復していく手仕上げの代金でお受けし、加工はサービスでさせて頂きますと言うご紹介です。
まずはそのままざっくりですが仕上げた画像です。
どのお店でも断られたとの事でしたが、丁寧に手仕上げしていけばこんな感じに。
通常の人体形成プレス機などの機械仕上げでは直ることはないんです。
なので、手仕上げしてくれるお店ならおそらくは直してもらえると思いますが、全てて仕上げで仕上げるとなるとジャケット一枚20~30分程度はかかってしまう作業になるため、断るお店も多いかな。
当店で洗って出てしまった場合は一通り直していきますがお渡しする際にご説明させてもらっていますが、毎回高額となると大変ですので、修復できる加工ができればと考えたわけです。
さて、一通り手直し後、お客様からまたクリーニングを依頼され洗ったらどうなるか・・・
経験上、洗ったり雨に濡れたりしなければこの浮きはほとんどでないと思います。
という事で、ここからテストの開始です!
実際にはこのスーツをテストしているのではなく、数年前からやっているものです。
ある程度行けるかな?って手応えがある加工になってきましたので、今までの総集編としてこのスーツを撮りながらご紹介です^^
あと、私のスーツは型崩れしている・・・??という方へ簡単チェック、お客様からお任せ、オーダー仕上げなどでお受けする際、注意している点などもご紹介させて頂きます^^
ドライクリーニングをして乾燥させたままの状態。機械仕上げもしていません。
洗っても、ある程度は治まっています。
通常着用程度ならあそこまで酷く出ていても仕上げ時に直すだけで問題なく着られたのでは?
アップ画像です。
あまり酷くなかった部分は着用していれば気にならない程度には収まっている感じですね。
手仕上げする技術があるお店なら、この程度の浮きは仕上げ時に治めていきますので、出ていてもお客様は気が付かないんですね。
次は、形状記憶加工をして仕上げ後、洗った画像です。
形状記憶は記憶させた形に自然と戻る加工です。
浮きが出ていた部分を平らに治め、その状態を繊維に記憶させていくため、
芯地から表生地が剥がれていても記憶された平らな状態に戻るわけです。
ただ、画像では良く見えないかもしれませんが、肉眼で見ると少し浮きらしいものは見えています。
今回は試しにエリ部分も形状記憶したのですが、仕上げられた状態に戻るためとても綺麗・・・
もちろん洗って乾燥させたまま、仕上げは一切していない状態です。
ビジネススーツなどは形状記憶させておくと衿が仕上げた状態に戻るからいいかも・・・
でも、少し浮きが見えているので、形状記憶させた表生地を芯地にもう一度貼り直せ無いか・・・
貼り直した後洗うとどうなる・・・?次のテストです^^
今度は、肉眼で見てもほとんど浮きらしいものはわからなくなりました^^
着用せず洗っていますので、着用中に付くシワ等もない状態ですから、使用後とは条件が違いますが・・・
仕上げした状態とほとんど変わらない・・・
もちろん、形状記憶・接着加工後、洗って乾燥したままです。
アップで見ても浮きらしい部分は見当たらないと思います。
衿がいいですねぇ・・・
実際この加工を何十着とやってきていますが、改めて見ていいかもしれない・・・
まぁ・・・そう思ったからご紹介してるんですけど(笑)
そして最終仕上げです。
当店の場合、インポート製品や高額品を洗うことをメインで考えて洗っていますので通常のクリーニング店より洗いはとてもソフトになります。
なので、もっと強い洗いをされたり、タンブラー乾燥機に掛けられたら結果は変わるかもしれません。
テストは全て自社工場内でできることのみ、こうした加工は改良も加えていくため当店オリジナル、秘密のレシピです^^
今のところ、この加工をサービスメニューに加える、のではなく、こうした事例を修復する際、できる限り高品質に治していくためにする加工としてのご紹介しています。
お受けさせて頂いた場合、形状記憶加工をして直していきますが、もう浮きは出てこないと保証できるものではありません。
一通り手直しして仕上げる型崩れ直しとしてお受けさせて頂く事になります。
さて、最後に型崩れ簡単チェックと当店がお任せでお受けした際に注意している点をご紹介。
今回はストライプのスーツなのでとってもわかりやすいです。
まずは袖ですが、スーツの場合ヨコから見るとこんな感じが一般的。
腕が折り曲がりますので、肩から肘にかけて太くなり、袖口に向け細くなっています。
仕立てにより、少し「く」の字になっているものなどもあります。
人の体はどの部分も丸みがありますので、立体的に着た時に事を考え作られます。
この腕の後ろ側の縫い目を線がつくように押さえる方もいらっしゃいますが私は丸く仕上げていきます。
この辺りは仕上げる方次第かな。線を入れる場合、手仕上げしていかないと入りませんので、言えばどちらも対応してくれると思います。
ストライプの線が上から下まで歪むことなくまっすぐに揃っていればこの部分の型崩れはほぼないでしょう。
ストライプがないと生地の織りを見ないとわからないのですが、綺麗にこんな形になっていれば大丈夫だと思います。
クリーニング店の多くは機械仕上げしていきます。
当店も同じく、機械仕上げメイン、機械仕上げ+手直し、全て手仕上げしていく服があります。
当店の場合、クリーニングの基本である洗いはあまり変わらず、仕上げ方法により金額が違います。
今ポケット内側部分は機械仕上げのみの場合、生地が下側に引っ張られながら仕上げるため湾曲します。
これは機械仕上げメインのお店の場合は仕方ない・・・
手仕上げ、オーダー仕上げ、あるいは高いコースなどで依頼する場合はこの部分をチェックします。
右側部分が下の引っ張られ湾曲したままの状態だったら型崩れが起きていますし、手直しがされていません。
ポケットの跡がくっきり付いている場合、手アイロンをされていますが丁寧に仕上げるお店はポケットの跡を消します。
この部分が湾曲していると裾部分のラインが崩れるため、着た時のシルエットも崩れてしまいます。
あと、ポケットのフタ部分と本体部分のストライプの位置。
本体上、ポケット、本体下部分までほぼ一本のラインになるよう生地を算段し縫製されます。
このラインが極端にずれていたら、これは仕立ての問題。
言わなければ気にされないというか気が付かない方がほとんどですが、オーダーで作る場合は作る方の腕次第!?
こちらは衿背中側部分。
型崩れを起こしているとこの部分がズレ上がり下の生地が見える状態に・・・
この部分は出ないように仕上げて欲しいとオーダーされる方多いです。
確かに自分では見えない部分で、後ろから見てなんとなくだらしがないように見えますね。
型崩れだけではなく、仕立てる前段階に生地の目が詰まって縮んだりしないよう目詰め処理がされているかどうか・・・
目詰め処理をされていない場合、生地自体が縮みずれていくこともあります。
右画像、ストライプの線がほぼ合っています。
私が千に合わせたわけではなく、生地の目を歪めないよう仕上げてこの状態です。仕立ての善し悪しが分かる部分かな。
時折、数着出した中の一着だけおかしくなったとか、ずっと大丈夫だったのに突然おかしくなったなどお聞きします。
いずれもクリーニング店で洗ったらなったということでクリーニング屋の責任と言われてしまいますが・・・
作られ方の問題であったり、使われている素材の寿命が来てしまったと言う事もあります。
安価でオーダースーツなども作れる時代になってきましたが、
使う材料、手間などが昔のオーダー品同様に使ったり作っていたりしたらとても作れる金額ではない・・・
生地も、使う芯地も雨に濡れた程度では縮んだりしないようしっかりと目詰め処理からされ、目を歪めず裁断し、縫い目など縮まないよう、簡単に糸切れ起こさないよう縫製して仕立てられたスーツは水洗いしても驚くほど変化が出ないし、染め変えても型崩れも起こさなかったりします。
クリーニング店が考える高品質な服とは、素材以上にこうした「作り方」にあると思います。
こうした浮きも接着芯を使われていなければ出ることがないので、高額品やオーダースーツには出ることがありませんでしたが、
最近では10万~15万円以上のスーツでも出ているのを見ています。
見えない部分なのでお客様にはわかりませんし、販売店でも自社で扱う服の作りのことまで把握して売っているお店はないでしょう。
この辺りを一番良く知っているのは、洗って仕上げいるクリーニング店なんですね^^