
ネクタイクリーニング・シミ抜き参考価格 2015年5月現在(税抜き)
※ネクタイを長く綺麗に愛用していくためにはシミが付いたらすぐに落とす、
締める部分など黒ずみが目立つ前に汚れを落とすなど、定期的にお手入れしていくことが大切です。
通常クリーニング 780円~
蓄積した汚れや水溶性のシミは取れません。
強い折れジワは残りますのでシワ伸ばしをご希望の場合、
型崩れ修復をご希望の場合はお任せコースからとさせて頂きます。
お任せクリーニングコース 1500円~
汚れが酷い物、シミが複数箇所あるもの、強い折れジワ、型崩れ修復など。
織や風合いにより、折れジワ、型崩れの修復ができないものもあります。
色の変化、汗や汚れによる変色、コース内の染み抜きで取れないものはシミ抜き代金がかかります。
シミ抜き 1箇所1000円~ 油性系・水溶性系のシミ抜き
インク系のシミ抜き(油性) 1箇所1500円~ 水性、ゲルインクはテスト後のお見積りとなります。
特殊シミ抜き 1箇所2000円~ 広範囲のシミ(水シミ含む)酸化・漂白系のシミ抜き
ネクタイの柄は何色もの色が使われ細かい柄になっている物が多く、色ごと抜いていかなければ取れないシミの場合、色を何色も合わせて修正、細かな柄を書き直す、と言う作業となりますので、色も一緒に抜き修正、色ハゲや色褪せの修正は今現在お受けしておりません。
ネクタイの締めジミですが、この部分は締め込むため、色が剥がれる、汗による黄変が出やすい場所です。
黒ずみにより変化が隠れて見えなくなっているため、汚れが落ちると変化が出ているものは見えるようになります。

(おまかせコース クリーニング @1500円)
おしゃれ工房You友(ゆうゆう) 大友眞吾です。
前回はスーツ仕上げ記事をご紹介しましたので、今回はスーツとセットになるネクタイのご紹介です。
ネクタイって洗うにしてもシミ抜きにしても仕上げにしても・・・とても難しいんです。
私が不思議に思うのはこれほど難しいのに、とても安価だったり、スーツを出すと無料だったり・・・
ブランド品の場合2~3万円、エルメスとか高い物だと3~4万位かな。同じネクタイでも仕立は違うんです。
多くの方がネクタイはクリーニングに出しても綺麗にならない、シワも伸びない、さらには・・・出すとダメになるとよくお聞きします。
これはなぜかって・・・やはり難しいからだと思うんです。
ネクタイはシルクで作られていて、しかも生地を斜めに使うバイヤスになっています。
服でも、シルク製品をお持ちの方はわかると思いますが、食べこぼしのシミでも取ってくれるお店を探しても見つからないくらい少なく、水が付いてできる水シミでも取れずに帰ってくるのがシルク製品です。
このシルクという難しい素材がさらに難しいバイヤス使いになっているため、和服のシミ抜きより難しかったりします。
生地が斜めに使われているため、雨に濡れたりすると生地がねじれ歪んでしまったりします。
バイヤスの型崩れを直すのはシミ抜きなんかよりはるかに難しくなりますから、
無難な洗いはできても染み抜きとか仕上げはほとんどされない(できない)お店がとても多いのが現状だと思います。
ネクタイももちろん綺麗にできますし、型崩れもかなり直すことができますが・・・数年前にネクタイをご紹介すると日本全国から宅配で届いたのは嬉しいのですが、状態が想像以上に凄かったんです(滝汗)
当店を通常ご利用頂いているお客様のネクタイって、締める部分が真っ黒になったり、シミが取れずに蓄積していくことってないんです。ご依頼される度に汚れもシミも除去しており、型崩れもその都度直していくのでひどい状態になってしまっているものってないんです。
だから、届いたネクタイと格闘しながら・・・
700円、800円ではとても出来る内容ではないからブログに載せるのはやめよう・・・と思ったんです。
でも、紹介記事を削除しているわけではないので、過去記事を見て20本、30本とまとめてお送りくださる方はいらっしゃるんです。
そこで、通常、お任せとコースを作り、特殊シミ抜きなどはご希望があれば別料金で、と工程ごとに分けていきました。
お任せはこの金額内で出来る限り綺麗にしますと言うコース。一つ一つテストしてお見積りを出しご連絡とやっていくと実際に作業するよりはるかに時間と手間がかかってしまうんです。しみ抜きもお見積りとして出していくととても高額に・・・(シミ抜きは 数×金額)
どこまで綺麗になるかは汚れやシミ次第ですが、このコースで取れなければ通常のクリーニング店へ依頼しても取れないでしょう、というレベルまでのシミ抜きはさせて頂いております。インクや接着剤、古いシミは取れませんがご希望によりシミ抜き(別料金)にて対応させて頂きます。
汚れやシミは見ればわかりますが、仕上げに関しては私が知る限り仕上げ方法とか説明や解説をしているお店はない様子。
こんなに難しく、手間もかかり、機械仕上げは絶対にできないネクタイなのに、です。
という事で、ネクタイ仕上げのご紹介です。
簡単ですが当店独自で仕上げ方法も考え仕上げ台を作っていますので企業秘密も公開です(笑)
家庭では洗うことも仕上げることも難しいネクタイですので、何が難しいんだろう?って疑問に思った方は御覧下さい^^


まずは左上画像ですが、ネクタイは裏側を見るとこんな感じで真ん中で縫い合わされています。
最近ではシミ抜きをする際、汚れやシミを抜く際、かなり強いバキュームで吸い取りながらシミ抜き、即乾燥とやっていくのですが、強いバキュームで吸われているためこの縫い目が表側に出てしまいます。
仕上げも同じく、そのまま普通にアイロンを当ててしまうと縫い目が表側にくっきりと出てしまうんです。
同じシルクでも糸の撚り(より)や織りによりかなり扱い方が変わり、物によってはしみ抜きも仕上げも上手く出来ない事もあります。
このネクタイは画像では良くわからないかもしれませんが、表生地より裏生地のほうが短く、表側が丸みを帯びるように仕立てられています。
クリーニングに依頼すると型崩れが・・・と言われるものの多くはこんな仕立てになっていることが多いですね。
表生地と裏生地の長さ(幅)が違いますので、平らにアイロンがけされたら・・・形は潰れてしまいます。
ネクタイを持って見ると自然に丸みを帯びますので見れば一目で分かりますし、締めた時に丸く厚みのあるネクタイに見えます。
こんな仕立てになっている場合は上左画像のように丸い仕上げ台にて仕上げていきます。
アイロンを掛けると言っても、表面にそっと触れる程度の浮かしアイロンです。
最後に細い円形の仕上げ棒を入れ、膨らみを持たせて仕上がりです。

こちらのネクタイは最初のネクタイよりより丸みを帯びているネクタイ。
丸い仕上げ台でも合わないため、形を崩さないよう裏側の縫い目を堺に半面ずつ仕上げています。
上左画像の仕上げ台とアイロンの隙間を見て下さい。
アイロンを掛けると言ってもこんな感じで表面にそっと触れる程度です。
シルクはデリケートな素材なのでイロンをまともに当ててしまうと目が潰れテカリが出たり風合いが変化したりします。
この仕事を30年やっていますので当たり前に仕上げていきますが、それでも手間がかかるし難しいと思う仕上げです。

こちらは裏表とも同じ長さの普通のネクタイです。
裏側に縫い目があると説明させて頂きましたが、平らなネクタイでもアイロン台の上でそのまま掛けていくことはしません。
縫い目は軽く浮かしアイロンで当てるだけでもくっきり出てしまいますので、左上画像のような仕上げ台にて仕上げていきます。

真ん中にくぼみがあり、縫い目をくぼみに合わせて仕上げることで、縫い目の上にアイロンを当てても縫い目が表面に出ることなく仕上げることが出来ます。
左画像のような感じで仕上げていきますが、左手はネクタイの織と柄を見ながら目を揃え整えています。
服でも同じで、どんなデザインなのかわからないものでも、繊維の目を揃え整えていくとデザイン通りのの仕上げになります。
でも・・・おそらくこれはとても難しい・・・・しみ抜きなんかよりはるかに難しいと私は思います。
アイロンは右手で掛けていますが、仕上げの一番の要(かなめ)は左手なんですね。
左手は生地を整え、揃え、段差がある部分も先に左手で探して避け、右手のアイロンは左手のナビに従って追いかけるようにして掛けていきます。

どんな仕上げ方をしても、最後に膨らみを付けて仕上がりです。
浮かしアイロンでも、スチームを掛けていきますので膨らみはなくなってしまいます。
なので、こうして膨らみをつけることで、ネクタイを締めた時に厚み、膨らみのあるネクタイになります。
おしゃれな方はかなり気にされますね^^

ネクタイが30本程度あると・・・仕上げだけで半日かかることも・・・
シルクは強い折れシワができるとスチームアイロンではシワが伸びなくなります。
伸ばすためには綿製品などによくされる「濡らし掛け」をしていきます。
濡らしがけとは、霧吹きなどでうっすらと生地を湿らせ、アイロンの熱で乾かしながら仕上げる方法です。
シワの伸びが悪い綿、麻製品は濡らし掛けすると気持ちよくシワが伸びるんですね。
でも、シルクの場合は・・・例えばシミが付いたからと急いで水で叩いてシミ抜きとかすると、
濡らした部分がそのままシミになったりします。経験ある方多いのでは・・・?
そしてこの水シミは水洗いすれば取れるのですが、シルク製品を水洗いしてくれるお店は探しても見つからないくらい少ないんです。
ほとんどの場合、取れずに帰ってくるはずです。
仕上げの際、強い折れジワを伸ばそうと濡らしてしまうと、濡らした形通りシミになってしまうことはよくあり、
そのシミを取る事ができないと濡らしがけは出来ないんですね。
だから、ネクタイはシワにしてしまうとクリーニングに依頼してもシワが伸びることもなく帰ってきてしまうんです。
シワを伸ばすために、水シミになるかもしれない濡らしがけをして、シミになったら取らなければいけない・・・
この段階でほとんどのお店はだと手が出せなくなります。
仕上げも同じく、ご紹介した仕上げは誰かに教わったわけではなく、
私自身が綺麗に仕上げるための方法として考えて工夫していることです。
このブログは同業者の方がたくさん見ていらっしゃるようで・・・ヒント盛りだくさんになっちゃったかな(汗)
でも、ネクタイは安価なもの、スーツを出せばネクタイサービスなど見かけたりしますが・・・
綺麗に仕上げるとなるとそんなに簡単ではない、と言う事を知ってもらいたくブログでご紹介しています。
シミ抜きは一日研修と数日実践すればパートさんでもある程度出来るようになりますし、
機械仕上げも同じく使い方を覚えればすぐにでもできますが、アイロンでの仕上げはそうはいかない・・・
同じネクタイでも仕立てられ方やシワの具合、型崩れの具合により仕上げ方法も変わります。
特に丸みを帯びる立体的な仕立てのネクタイは一度形を壊されてしまうと綺麗に直すことはとても難しくなります。
ネクタイって難しいから綺麗にならなかったり、シワが伸びなかったり時にはダメになってしまったりする原因が少しは伝わったかな・・・
当店の仕事としてご紹介していますので、他のお店がどんな方法で洗い、仕上げているのかはわかりません。
でも、ここまで手を掛けているお店は早々ないはず。
1点にどこまで手を掛けられるかは金額に比例していきますから、安価な金額ではできない仕事。
きっこのブログを見たと同業者の方の中に、「こいつ、こんなことやってんだ」って思われた方もいるのでは?と思います(笑)