(画像クリックで表が表示されます)
おしゃれ工房You友(ゆうゆう) 大友 眞吾です。
今回は少し前にご紹介した
マッキントッシュコートのボンディングの溶け出しの記事で事故が起きてしまった時の補償額の出し方について載せました。
とても大切な事だし、お客様から質問もありましたので再度基準表の見方と算出方法を載せます。
ご覧になったお客様から、
「こんな基準があるなんて知らなかった」
マッキントッシュコートを持ってこられたお客様は記事を見てご来店くださったのですが、
「このコートも同じですか?」といった反応がありましたので、再度ご説明させていただくことにしました。
私がこの仕事を始めた頃って、おそらくこの基準表を店頭においてあるお店、結構あったと思うんです。
どんなものでも減価償却されるのと同じように服の価値も減価償却されていきますので、
ある程度使った服が何か事故が起きてしまっても購入価格全額保証されることはないんです。
新車買って、大切にして乗らなかったから、5年後でも購入額と同じ価値があるか?って言うのと同じなんです。
クリーニング店って、ある程度使われたものを洗ってお返しする仕事なので、見落としたシミや気がついていなかった傷などがクリーニング後に見つかることもあり、クレームがもっとも多い業種って言われています。
一番悪いところは、【安価な服なら弁償してしまったほうがクレームも収まるし簡単】と弁償してしまうこと。
じゃぁ、それが数十万する服でも簡単に弁償するのか?って話ですね。
コーティングやボンディング、合成皮革などは、
「こんな素材を使うから悪い」とか、
「わざとだめになるように作っている」などの話も聞いたりしますが、
業者、お客様ともに、一番不公平のない保証として法律基準が設けられています。
だから法律基準、なんです。
まずは、上の表、クリックして全体を見てください。
まぁ、見たままなんですが、同じスーツでも夏用、冬用と平均使用年数が違い、素材によってもかわります。
その中でもさらに備考に書かれている部分を見てどこに該当するのかを見て、一番右に書かれている平均使用年を確認します。
年数で書かれていますが、例えばダウンコートでみると、使用する時期って地域によっても違いますが地元浜松だと12月くらいから使い始めることが多く、3月くらいになるとしまう時期になりますね。
使う時期は1年のうちで4ヶ月程度。
夏物衣料になるともっと短くなりますが、あまり使わず大切に着たりちょっとしたお出かけとかイベント用の服だと
ワンシーズン1~2回程度しか着ていない服って結構あると思います。
こうなると、たとえ3年目でも数回しか使っていないので新品同様って感覚ですね。
でもどんなものでも時間の経過とともに減価償却されていくので購入価格の保証とはならないんです。
簡単に書こうかと思っていたけど説明していくと長くなってしまうので、次は保証割合の見方、もしもの時の相談場所、それと基準表の下の方にバックやお財布、皮革製品の平均使用年数も載っているので、劣化などちょっと説明もしていきますね^^
(画像クリックで表が表示されます)
平均使用年数を確認したら服を購入してからどれくらいの年月が経っているかを確認します。
平均使用年数が2年、の服を1年5ヶ月(17ヶ月)前に購入した場合は表の一番上の「2年(24ヶ月)」のところを下に見て「16~18ヶ月未満」のところが該当。
その並びの一番右側にある補償割合を見て金額を算出します。下に3段階の分け方の基準が書かれています。
実際だと、
「A」はシミや汚れも一つもない、傷みもない、新品のまま保管してあったのと同じような状態
「B」は年月なりのそれなりの使用感がある状態
「C」は恒久的に取れないシミ、色あせ、色抜け、傷などが1箇所でもある状態
って感じでしょうか。
平均使用年数2年の1万円の服を1年5ヶ月前に購入してる場合だと、
30~40%程度の補償になるので3000円~4000円の補償金額が法律で定められた補償額となります。
平均使用年数の2倍以上経過していると補償割合は3~7%程度となり、補償額は限りなくゼロに近づいていきますので、
クリーニング代金が返金される程度、が法律基準となります。
1万円の服ならまだまだ着られるって思っていても補償金は300円~700円程度になってしまうことになります。
もう一つトラブルの原因となるのが、この補償金を受け取るとその服は業者へ引き渡すことになります。
要するに、業者は買い取る形で保証するということです。
あと、難しいのが、購入してからって説明してきたけど、実際は服が作られてから、の年月になります。
というのは、最近の服は機能性がよく暖かくて軽くて、なんて服が多くなっています。
ユニクロが大人気なのもこの機能性が安価で手に入るからですね。
でも、機能性を出すために、いろんな加工がされています。
例えばボンディング加工とかコーティング加工等。
ユニクロは品質表示に前までは【これらの加工品は3年程度で寿命が来る】と書かれていました。
空気中の水分で溶け出す加水分解、硬化して剥がれたりひび割れたりする劣化起きると素材自体の寿命となるんですが、これらの加工は生地に加工されてから劣化が始まっているんです。
品質表示は法律基準に則って付けられている服の保証書となりますが、この表示からその服がいつどこで作られ、どこへ卸され、いくらで販売されたかなど、わかるようになっているんです。
だから、業者は事故が起きるとその服の製造年月日と販売価格を調べ補償額を算出します。
時間とともに寿命が来る、経時劣化商品は、例えば売れ残りのバーゲン品など買ってしまうと使っているシーズン中に寿命が来てしまうこともあります。
メルカリやオークションで買うときも同じリスクが付いてきますし、中にはすでに寿命が来てしまっているもの買ってしまう人もかなり出ています。
ちなみに、数十万する高級ダウンも、質の良いダウンを使っているから一生モノって進められて買うってよくお聞きしますが、ダウンは大丈夫でも周りの生地に寿命が来ます。ダウン製品は100%寿命が来る加工がされています。
賠償基準表の一番上に書かれているコーティング、ボンディング加工が全てにされているってことです。
ゴム樹脂とかゴム引きはマッキントッシュのことですね。
数十万するマッキントッシュでも法律基準で見ると・・・ご自身で確認してみてください。
賠償基準の下の方に皮革、毛皮製品があります。
バック類は5年とされていますが・・・
プラダのナイロンバックは縁周りが茶色や黄色に変色が出てしまうってよくあるご相談ですが、これは新品時から表側まで接着剤が染み出していたモノが変色した状態、早いものだと5年立たずに黄ばみが出てきます。
浜松は駅前にイルビゾンテの販売店があったのでよく依頼されたブランドですが、プラダと同じパラシュートに使われる丈夫なナイロン地のバックは加水分解が起きるのが早く、付けた覚えがない油シミのようなものが出てきた場合、加水分解という現象が起きていて、素材の寿命となります。
プラダにもありますね。
あと、グッチのバンブーシリーズはバックの内張りが合成皮革。ほとんどのバックが溶け出してベタベタになり中のものが入れられない状態になっています。
ヴィトンも同じく、ベタつきが出てきた場合は溶け出し、貼り付くのも溶け出しです、
ヴィトンベルニのエナメル、特に白いベルニは2~3年もすると黄ばみますが、これもエナメル樹脂の劣化による黄変です。
変質と言ったほうがいいかな・・・
日本の気候に合わない、乾燥した地域で作られているものを日本に持ってきてしまうと起きてしまう現象の一つです。
クリーニング賠償基準では5年だけど、新品時から5年以内に不具合が出た場合、保証してもらえるんだろうか・・・?
以前、一度しか使っていない
シャネルカンボンラインのピンクのバックは2年しないうちに色があせて黄色っぽくなり染色直しをしましたが、、、、
お客様からは「今度は色褪せないように染色してもらえるんでしょうか?」って聞かれました(汗)
当店で使っている塗料は、光による耐光度、紫外線による耐久度も世界トップクラスと言われるモノ、使っています。
話がそれそうなので・・・
今回の賠償基準はクリーニング業者にとってもお客様にとっても知っておかなくてはいけない大切なことだと思います。
このブログを見ている同業者の方は多いと聞いていますので、この賠償基準、補償割合とも、リンクするなり、好きに使ってもらって構いません。
寿命が来る加工をダメだっていう人、壊れるようにわざと作っているなんてこと言う人もいますが、これらの加工のおかげで快適で機能性の良い服をおしゃれに着こなせます。
私達クリーニング店は、これらの服をどうやって綺麗にしていこうか、って考えて洗うことが仕事です。
でも、寿命が来てしまっていたら、どうにもできません。
何事も起きていない時に、必要な情報を伝えていくことでお客様も納得できるし、より信頼してもらえるのでは、と思います。