ジャケット1点手仕上げ仕上 8800円(税込み)~
今回のゼニアジャケット型崩れ修正仕上げ参考価格(2021年4月現在)
13200円(税込み)
クリーニング店で水洗いされたゼニアジャケット修復です。
縮み型崩れが大きく出ている場合、アイロンが当てられない素材など、お受けできないモノもあります。
おしゃれ工房You友(ゆうゆう) 大友 眞吾です。
時々あったご相談なんですが、水洗いで依頼したら風合いが変わったとか仕上がりが・・・ってご相談。
過去にあったご相談は飲食店でシミを付けてしまいクリーニング店へ水洗いで依頼したところ、仕上がりが悪くクレームに・・・
水洗いされたスーツの型崩れ修復の生地はここをクリック
水洗いは型崩れだけじゃなく、生地のハリもなくなる、くたびれたようなクタクタ感が出るなど、水洗い不可となっている服は変化が大きく出てしまう事が多い洗い方法です。
変化が出る原因の一つとして天然繊維は水分を含むと膨潤(膨張)するんです。
例えば、お風呂に長く浸かっていると、手の皮とかぶよぶよしますよね。手の皮がふやけた状態ですが、繊維も同じような状態になるんです。
繊維は細い糸を何本も束にしてねじって(撚って)一本の糸を作り、その糸を織って生地にしています。
水分を含んで膨張すると糸のねじれが戻り毛羽立つ、膨張した繊維が乾く際、元通りの形状に戻らずねじれたりしながら型くずれを起こしたりします。
変化の出方は色々ですが、よくあるのがこんな感じ
水洗いで出たポコポコした気泡のような浮き直し事例はここをクリック
↑ この事例は当店で汗取りのご依頼をお受けした際、水洗いしたことにより起きてしまった型崩れと浮きです。
この状態になると修復できるお店はほとんど無いんじゃないかな。
防縮加工などしてから1点手洗いしててもこの状態になったのはホント想定外・・・
このお客様には次回以降、水洗いによる汗取りはできないとお伝えしていますが、他のお店へ依頼したら同じ状態になってしまうんですよね。
ドライクリーニングと水洗いの一番の違いがひと目で分かる事例なんです。
ドライクリーニングは水分を一切使わないため、繊維の膨潤、収縮(膨張し、乾いて収縮すること)が起きないんです。
だから水洗いしたジャケットのようなひどい型崩れ、浮きもほぼ出ることはないんです。
質感とか風合いを考えた場合、これが水洗いとドライの大きな違いとなります。
この部分をちゃんと理解して洗っているお店がどれくらいあるのかな・・・
今回はかなり上手いお店ということで依頼したとのこと。
依頼内容は水洗いとドライクリーニングのwクリーニング。
状態を見ると、このお店はちゃんと水洗いまでしていることがわかります。
でもこのお店、このジャケットがゼニアで、しかもシルクとウールの混紡だってこと、知ってて水洗いしたのかなぁ・・・・
一言でスーツって言っても大丈夫なスーツもあれば水洗いはしないほうがいいスーツもあるんです。
あ、ウォッシャブルスーツは家庭でも洗えるので別です。
少し前にお電話でのご相談でしたが、カシミヤコートの水洗いを自信満々に勧められ、依頼したら・・・ってご相談ありました。
どうして水洗いで依頼したかお聞きすると、
「手触りのとても良い加工剤を使って洗うので風合いも質感も良くなる、と勧められたから・・・」
この部分から・・・間違っているんじゃないかなって私は思うんです。
お客様にとって100%の状態は新品の時の風合いとか質感なんじゃないかなって。
手触りや光沢、風合いの良い加工剤で良くなる?って、一番良い100%状態を変えてしまうってことですから。
水洗い希望でのご相談って良くあります。
「どうして水洗いをしたいんですか?」とお聞きすると、水洗いまでする必要のない理由が多く
「それでしたら水洗いしないほうがいいですよ」ってお答えすることのほうが圧倒的に多いんです。
水洗いしても大丈夫な服、しないほうがいい服とあります。
ダメになるリスクが高い素材やデザインの服もあります。
ということで、どんな服は水洗いしないほうがいいのか・・・そんなお話です^^
一言で水洗いと言っても洗う方法は様々。
家庭洗いを考えてみるとわかるけど、洗濯機で普通に洗う、ソフト洗いなど手洗いコースで洗う、バケツで手洗いするにしてもそっと漬け込むだけ、押し洗いする、ゴシゴシ洗う。
使う洗剤もエマールなど洗浄力が低い洗剤で洗う、同じ中性でも洗浄力のある洗剤で洗う、アルカリ洗剤で洗う、常温水で洗う、温水で洗う、少し漬け込み時間を掛けてから洗うなど・・・
どうしてこんな洗い分けをしていくかは、その服の購入時期や素材、色、お気に入り度合いなどで変えて洗うと思います。
お気に入りは出来る限り長くきれいに、でも風合い変化や色あせを出したくないですよね。
これがお客様にどうして水洗いをしたいのかをお聞きする理由です。
「ドライクリーニングは綺麗にならない」と誰かに聞いた、「しまう前は水洗いがいいって人から聞いた」など・・・
なんとなく水洗いのほうがきれいになるんじゃないかな?って感じで依頼されているかたって多いんじゃないかな?
例えば今回のジャケットはゼニアというブランド品でウールとシルクの混紡です。
仕上げた感じではあまり着られていないだろうし、衿の傷みや焼けも出ていないから、何か水洗いをしないと改善できない特別な問題でもない限り、水洗いしないほうがいいとお客様にはお答えすると思います。
風合いや質感、色褪せなども考え、できる限り風合い変化を出さないよう綺麗にするにはどんな洗い方をするのが最善か?何てこと、お客様にはわかりませんよね。
ドライクリーニングという言葉は知っていても、どんなものを使ってどう洗っているのか知ってる人はほとんどいらっしゃらないと思います。
服を販売する側の業者もドライクリーニングの事ほとんど知りません。実際のドライ溶剤すら見たことある人は30%もいなかったというアンケート結果を数年前に見ています。
スーツはドライクリーニングしたほうがいい、と言ってるわけではないんです。
スーツを水洗いして綺麗に仕上げるために勉強されているお店もあるし、中にはスーツを実際に自分で仕立て作ることで構造まで理解して洗っているってお店もあります。
そんなお店へ依頼できていればいいけど、そういったお店は探しても見つからないくらい貴重なお店になると思います。
ウールスーツでも、平織りで裏地もポリエステル仕立てのスーツと、触った時の風合いがよく、裏地がキュプラのスーツとでは水洗い後の難易度が全く違います。
風合いにより縫い目にアイロン当てるだけでアタリ(テカリ)が出てしまう場合は当て布が必要になるし、当て布を使うと細かな形成がとても難しくなるし手間もかかる・・・
当て布してもアイロンの圧力、かけ方によりテカリが出てしまう素材もあります。
こんな場合洗う前の段階で素材を見て判断することで洗い方法自体が変わります。
今回このジャケットを水洗いをしたお店は丁寧に洗っていたと思います。
それは縮み変形などあまり出ていなかったこと、裏地のキュプラのしわ具合など見るとわかります。一点手洗いしたんじゃないかな。
基本的に、男女問わず、裏地にキュプラが使われている服は同じような表素材が使われていても金額的にも1~2ランク上の服になると思います。
でも、このキュプラって、結構難しい素材なんです。水洗いしてシワになると伸ばすのも難しく段差がなくてもアイロンを強く当てると繊維の目がつぶれテカリが出る・・・
わきの汗シミによる変色が出やすく、出てしまうと取るのが難しく簡単に色も抜けてしまうんです。
でも高級服のほとんどに付けられている裏地がキュプラなんです。
シャネルはシルクの裏地になります。
基本的に、触った時の風合いがよく、総裏地でキュプラが使われている場合、お店とよく相談してください。
大手で受付がパートさんだと実際に洗いの仕事に携わっていないので、相談するなら個人店のほうがいいんじゃないかな。
個人店の多くは受付して説明した人が洗い仕上げていきますから。
水洗いをせず変色を出すこともなく30年以上愛用されているスーツもあります。仕立てて1度目の使用で事故にあいスーツとカシミヤのコートをいきなり水洗いせざる負えなくなったスーツ、コートもあります。
私が水洗いするときに一番重要視することはきれいに仕上げられるかどうか。
水洗いしたことがわからないレベル程度まで仕上げられるかどうか、です。
今回は紺色と色が濃く、風合いがよいシルクウールのスーツで機械仕上げではシワが伸びない、仕上げの難度が高いスーツでした。
今回お客様が最初に依頼したお店も個人店だったんだけどね(汗)