シャネルジャケットクリーニング参考価格(2021年4月現在)
シャネルジャケットクリーニング 5280円~
素材、シルクの裏地の有無、デザインにより金額が変わります。
シルクの裏地の汗染み、衿の黄変などしみ抜きはお見積りとなります。
今回のシャネル綿ジャケット参考価格 38500円
全体変色復元洗い・裏地シルク変色しみ抜き 色補正まで
おしゃれ工房You友(ゆうゆう) 大友 眞吾です。
今回は全体に黄ばみ(黄変)が出てしまっているシャネル綿ジャケットのご相談です。
裏地にはシャネル得意のシルクが付けられています。
綿素材でこの黄ばみ状態、技量のある方が見ると、黄変を取るとどうなるかは予想ができるはず。
どうなるかって・・・変色がひどい部分は確実に色が抜けているな、と予測できるんです。
実はこのシャネルジャケット、昨年TV取材時にかなりガッツリ収録していた一点なんです。
TV取材依頼を受け収録はしたものの、どんどんコロナが蔓延していったため、放映予定日くらいになるとマスクをせずに収録していたため放映ができなくなり、一時はボツ?って感じだったんです。
収録をし直すのか、コロナが収束してから放映するのか・・・
最終的には使える部分は使い、当店の店頭収録のみを取り直しに。
最初に打ち合わせしたディレクターもかなりの間が空いたため移動、と重なり当初予定していたものがかなり大きく変更され・・・このジャケットは日の目を見ること無くボツなってしまったんです。
撮影開始日にこのジャケットを見たディレクターからは即、これ!お願いします!!!って言われた一点なんです(笑)
衿も線状に黄ばんだ変色・・・これはクリーニングする際に汗と皮脂をシミ抜きで落としてから洗ってもらうと黄ばまずに着られたシミですね。
ディレクターからは、できれば綺麗になったこのシャネルジャケットをスタジオ収録時にお借りしてスタジオ撮影させてもらいたい、という流れだったんです。
放映されるとしたら、ブログで先に紹介するわけにはいかないから公開できなかったシャネルジャケット。
この状態を撮影し、さぁ、綺麗にしてください!!ってプレッシャーだなぁって思いながら手掛けた想い出深い一点です・・・
この画像見るまで忘れていたんだけどね(大汗)
今回は表生地の色落ちがどの程度出るかも心配している部分でしたが、一番はシルクの裏地。
シルクって性抜けしやすい素材なんです。
性抜けとは繊維自体が空気中の酸素による酸化などで傷み弱くなっていることで、水に濡らすだけで破れたりするようになるんです。
酸化=腐食です。腐食が進んでいくから、破れるような状態になるんです。
ということで、すごく手間を掛けた、忘れていたけど想い出深いシャネルジャケット、着られるように復元です^^
今回は工程は省いています。
省く・・・実は取っていないんですけどね(笑)
合計すると10回くらいTVに出させて頂き、1時間のドキュメンタリー番組に出させてもらった以降、どの局からも手付ける前、宅配なら届いて開封する前から撮り、工程、完成、お客様の喜びの顔までを撮りたい!って流れになっています。
TVではお客様は2~3名のご紹介だけど、これ出ていただくのってめっちゃ大変なんですよね。出たい人ばかりではないってことだし店頭取材も当たり前のように断られます。
何度もやらせていただいているので、この辺りは当店もTV局へ協力しています。あるんですよね、交渉術が(笑)
実際にTVで出てくるのは数点ですが、実際には10点程度は手付前に撮り実際に作業を進めていますから、結構大変・・・
今回は工程を取りながらやっている時間がなかったため、ビフォー・アフターしか撮れなかったんです。
最初のディレクターは女性の方で、シャネルジャケットの仕上がり見て感動してくれていました。
あれが・・・こんななっちゃうの・・・??って(笑)
この水色って色は、青にほんのり黄色を入れて作っています。そこに赤を入れていくと、締まったような青みというか、青みがクッキリしていくるというか、そんな色目になります。
色は赤青黄色(マゼンタ・シアン・イエロー)の3原色から作られていて、抜けていく色の順番があります。
主には青、赤、黄の順で抜けていくため、この水色の場合だと青みが抜けると黄ばむんです。
酸化による黄ばみなのか、色抜けによる黄ばみなのか、両方同時に出ているのか・・・
この辺りは実際にやってみて結果がわかるんです。
色が抜けている(変化している)場合、直していくには抜けている色を入れて直していく(補正していく)ためこの色直しを色補正といいます。
今回は実際に黄色い変色を落としてみると、ひどく変色していた部分は白っぽく色が抜けていました。
この場合は、白を水色にしていくって考え色補正をしていきます。
絵の具で考えれば簡単。青に白を入れると水色になりますよね。
染料には白という色もないし、黒もないんです。地色の白に何色を入れると、どれくらいの濃さで入れると本体と同じ色になっていくかを考えるんです。
色は基本3原色からどんな色でも作ります。黒は赤青黄色を 1対1対1 で混ぜると黒になります。
同量の3色を混ぜて作る色でどこにも偏りがない色を無彩色といいます。
これを薄く白に付けると黒に白が混ざるのでグレー色になります。
善と悪の境目でどちらかわからないってことの表現をグレー色って言ったりしますよね。どこにも偏らない、どっちなのかわからないって意味ですね^^
今回は復元洗いして黄ばみを落とし、色落ちしている部分を染色補正、縮み変形を修復して仕上げています。
言葉にすると簡単ですが、これらの作業は根を詰めてやれば数時間で出来る!って作業ではないんです。
私的には、女性のあこがれのブランドスーツって言えばシャネル!てイメージなんです。
憧れて買い、でももったいなくてそれほど着ていないのに着られなくなってしまったってご相談たくさんあります。
白は置いておくだけでも空気中に酸素があるため黄ばんでしまう・・・
でも、シャネル、エルメス、ヴィトンなど高額ブランドになるほど、何もしてもらえず断られてしまいますね。
昨日ついた食べこぼしのシミですら、手つけてももらえないってよくあることのようです。
このシャネルジャケットも着られるレベルまで修復できるかどうかは、実際にやってみないと当店もわからないんです。
状態を見て出来る可能性のほうが高いのかどうかの判断、出てくるリスクを想定し、どの程度までなら修復できるのかをお客様にご説明させて頂くのですが、ここまでの段階でもかなりの手間と時間がかかります。
もちろん、ご説明、お見積りの段階でキャンセルになることもあります。
でもこのシャネルジャケットのような事例は確認、テストをしてみないとどこまで出来るかなど判断もご説明もできないんです。
見ただけではわからない事ってたくさんあるんです。
キャンセルの場合はシミ抜きテストなど手数料を頂かず、送料のみ(着払い)ご負担頂きお送りさせてもらっています。