モンクレールダウンクリーニング参考価格(2021年3月現在・税抜き)
ショート丈 7000円~
ハーフコート 8500円~
ロングコート 10000円~
水洗いは+50%~100%が目安。
ダウンすべての製品はボンディング、コーティングなど樹脂(接着剤)を使った加工がされています。
これらの加工は空気中の水分で溶け出し表生地に滲み出てシミを作ったり、ひび割れたり剥がれてきたりします。
ボンディング、コーティングの染み出しや剥がれなど劣化は使っていなくても時間とともに起きる経時劣化という現象です。
モンクレールボンディング染み出し事例はここをクリック
ひび割れ・剥がれ事例はここをクリック
この劣化現象はクリーニング賠償基準では平均使用年数2年程度とされている加工となります。
国の気候(気温や湿気)により寿命が左右される加工なので、10年経っても劣化が起き無いものもあります。
今回のモンクレール脇のニオイ(ワキガ)取り参考価格
クリーニング+消臭殺菌、ワキのニオイ分解処理 20000円。
おしゃれ工房You友(ゆうゆう) 大友 眞吾です。
前回はモンクレールダウン、何度ドライクリーニングしても羽毛が傷まない、当店独自の新しいドライクリーニングをご紹介しましたので、今回は水洗いをご紹介、といっても簡単には取れないワキのニオイ(ワキガ)取りです。
羽毛独特のニオイを取る方法と方法が全く違います。ワキガは普通の服でも取り切るのが難しく、クリーニング店で消臭加工などしてもらったけど取れないってご相談がとても多いんです。
家庭で使うファブリーズなど消臭殺菌剤も同じですが、洗い流さずニオイを取るっていうのは、菌を殺菌して一時的にニオイが取れたとしても、そのニオイの元が残っているためすぐにまたニオイが復活してきます。
雑菌の繁殖の原因となっている汚れが取れているわけではありませんから。
今回は色々と書いていくとまた長くなる、今回はわかりやすくするために画像をたくさん撮っていますので、今回の内容に沿ったことだけ書いていきます。
ワキガって、ネットで調べると雑菌の繁殖って書かれていますが、雑菌の繁殖だと思って処理しているお店だとニオイを取ることができません。
ニオイの原因を間違えています。
オゾン消臭が効果ある?って、オゾンだけで取れることもないですね。当店ではオゾンももちろん使っているし、服に使える殺菌剤のほとんどは使ってテストしています。
コロナも不活性化できる殺菌剤は店頭に服用の殺菌剤として設置してありますし、お客様へ配布もしていますが、この殺菌剤を知っているクリーニング店はほとんどありません。
…っとまた長くなるので本題へ(汗)
ニオイのほとんどは水洗いが最低限必要になります。
今回のモンクレールダウンに付けられている表示は水洗い不可となっていますが、水洗いをしないと除去はできないんです。
それでは、説明しながら・・・一言で水洗いといっても、目的が違えば洗い方も変わるんです。
特にダウン製品は目的により同じ水洗いでも手間が何倍も変わってきます。
これを説明しているサイトは見たことがないので・・・ご説明していきますね^^
ひとつ上の画像ですが、押し洗いしているのと同じような画像です。
洗うと一言で言っても家庭洗いだって目的により洗い方変わりますね。
使う洗剤も変われば洗濯機のコース分け、洗面器やバケツ使って手洗い、洗うだけじゃ綺麗にならないなって思えばお湯使ったり、浸け置き漂白したり、ただ洗うだけでは綺麗にならないなって思えばブラシがけなどして洗いますよね。
当たり前だけど何を目的で洗うのかで洗い方は変わるんです。
ダウン製品を自分で洗ったことがある方ならわかると思いますが、洗濯機に入れて洗うと浮いたままの状態で洗えないんです。
目に見えて色がくすんでいる、汚れている場合、ダウンはブラシがけなどして手間かけて洗わない限り汚れ落ち無いんです。
ダウンがきれいにならないって言われる一番の理由ですね。
今回は水洗いの説明だから詳しくは書かないけど、ドライクリーニングする場合、ちゃんと洗えるんです。
理由は、水が浸透しないのは水の粒子が大きく繊維に弾かれるからで、ドライ溶剤の粒子は水の粒子の10分の1以下の大きさのため繊維の間から入り込むため、浮いた状態にならず洗えるんです。
それでもダウンの汚れって落ちが悪いからひと手間かけて洗わないときれいにならないんですけどね。
ここからが今回書こうと思っていた本番(笑)
こうしたダウン(羽毛)製品を水洗いする場合、表面の汚れを落とせばいいのか、中のダウン(羽毛)を洗うのかで洗い方が変わるんです。
ダウン製品ははっきり言って表面の汚れ落とせれば問題ないかな、って思います。
ダウンは何枚も服を重ねてきた上に羽織るものなのでよほどのことがない限り汗の匂いとか皮脂臭って付くことはないんです。
この辺りは私の経験上の話です。
時折酸っぱいようなニオイがしたりすることあります。裏表の生地を水洗いすれば改善できるものもあれば、ダウン(中の羽毛)自体にニオイが染み込んでいる物もあります。
この場合は、ダウン(中の羽毛)自体を洗浄しないと問題が解決できないんです。
この画像はダウン(中の羽毛)まで洗剤がしっかり浸透している状態。洗剤にしっかり浸かりきっています。
上の画像を見てもらうと、ダウン全体が小さく折りたたまれた状態になっています。
ダウン製品は空気を含んで温かい空気の層を作ることで保温性があり温かいんです。その空気をしっかり抜かないと中まで洗剤を浸透させられないため、空気を抜く作業をしているんです。
この作業は力任せに抜こうとすると爆ぜたり糸がはちきれたりするため、手で負荷をかけすぎないようにたたむようにして抜いていきます。
画像のような状態まで空気抜くだけでもかなり大変ですが、この状態になって初めて中の羽毛を洗うことができます。
今回水洗いの目的は汚れではなくワキガのニオイですが、羽毛はとても厄介・・・
モンクレールなので羽毛はダウンパック(目詰処理された袋)に包まれた状態で服の中に入れられています。
普通の生地なら脇下部分のみにニオイが染み込んでいることが多いのですが、羽毛はダウンパックの中で動き広がっているんです。
広範囲に薄っすらと臭いがしているのはニオイが染み込んだ羽毛がパック全体に広がってしまっているからなんです。
洗剤に浸け置き、中の羽毛を洗うように揉み洗いし、またしばらく浸け置きごに揉み洗いと繰り返し・・・
空気が抜けにくいって事は入りこんだ洗剤も絞りにくいって事で・・・洗剤がダウンパックに入り込んだまま脱水機に入れてもバランスが取れず絞れないんです。一気に絞ったら・・・水の圧力に負けて爆ぜてしまいます。
モンクレール推奨店って言われていたお店で生地が破れた、縫い目が爆ぜて帰ってきたってよく聞いた時がありましたが・・・コレが原因だと思います。
ゆっくり負荷かけすぎないようにダウンパックの洗剤を抜き、短時間脱水して洗いの一工程が終了です。
ワキガのニオイはすごく取れにくく、乾いた状態でニオイを確認し取れ方が悪ければ再度この工程を繰り返します。
3回を限度として出来る限り取っていきます。
当たり前だけど・・・洗い上がりはシワだらけのぺちゃんこ・・・
タンブルして羽毛をもみほぐすのは表生地を傷めるため出来る限り短時間に・・・、当店の場合は基本自然乾燥させます。
ここまで羽毛に水を浸透させると羽毛を手でほぐしながら1週間程度干します。
もちろんダウンを膨らめるために「ふっくら加工」を全品にやっていきます^^
ここまでが洗いと乾燥・・・仕上がりにはまだまだ・・・
畳みながら手で空気抜く、洗剤を押し出すなどしているため、全体シワになります。
このシワを手仕上げで伸ばしていきます。
羽毛の膨らみを保ったまま、アイロン仕上げです。
機械仕上げではこのシワは絶対に伸ばすことできないんです。
細かな小じわもきれいに伸びると光沢が蘇ってきます。
ダウンだけじゃなく、水洗いで風合い消失した、光沢が無くなったっていうのも、小じわができ、ハリもなくなり、光沢が消失するからです。
最近、顔の小じわが増えたなぁ・・・ハリもなくなったし艶もなくなったなぁ・・・
でも、アイロン掛けれれないからなぁ・・・(汗)
こちらは内側の裏地部分。
モンクレールなど欲しくて仕方なくて購入したってかた多いですよね。
とても大切だし憧れて手に入れた一品です。
大好きな一点だから、とにかく一番良い方法でお願いしたいって気持ちわかるんです。
自分も同じだから・・・
光沢が消失していたりハリがなくなる原因なんてほとんどの方知らないし、愛用しながら少しずつ変化していくからこんなものかな、って思われている方多いんです。
だから、仕上がりを見て、なんかすごく綺麗になってる・・・ってお客様から言われるのもこんな仕上げしているからなんです^^
ブランド品は脱いだときにしか見えないけど、裏地も仕上げていきます。
裏地がすごく綺麗になっていたって喜ばれた事があります。
海外に仕事でよくいかれるお客様でしたが、一流ホテル、一流レストランへ行くと脱いだ服を係の人に預ける、自宅へ呼ばれた場合もコートとかジャケットを脱いで渡すとのこと。
「裏地が汚れていたりシワになっていると着られない・・・でも日本だと裏地を綺麗にしてほしいってとてもいいにくいんです・・・」
お客様からお聞きした言葉です。
ファスナーメンテナンスしている画像です。
ファスナーはスライドする部分で凹凸を噛み合わせるようにして閉まっています。
滑り込ませる形で凹凸を噛み合わせているため、滑りが悪く摩擦が大きくなると重たくなるし摩耗も激しく締めても開いてしまうってよくありますよね。
重たくなると持ちて部分が取れたりしてしまうこともあります。
ダウン製品のファスナー取替って簡単ではないので、少しでも重たいなって感じたらブランド品はファスナーオイルを入れメンテをしています。
動きも軽くなり摩擦による摩耗も抑えられるのでファスナーが長持ちします。
ファスナーはバック、お財布も必ずメンテナンスさせていただいています。取り替えは金額的にも大変なので・・・
仕上がり画像です^^
ご相談をお受けしてから仕上がるまで・・・
とても遠い道のりでした(汗)
一言で水洗いと言っても目的により洗い方は変わるんです。
一言でニオイ取りと言っても汗のニオイ、皮脂のニオイ、ワキガのニオイ、羽毛独特の獣くさいニオイなどそれぞれ方法も違います。
〇〇加工など、ニオイのもととなる部分を落とさず加工で取れることはないので注意が必要です。
仮に取れたとしてもニオイのもとが残っていれば同じ臭いが時間とともに復活します。
当店ではオゾンも使っていますがオゾンガス消臭のみで取れることはなく確実に復活してきます。
クリーニング店でも勘違いしている方多いのが羽毛のニオイ。水洗いで取れるって思われている人も多いようですが、下手に水洗いするとニオイが全体に付いてしまい悪化するんです。
クリーニング、特に水洗いなど丁寧な仕事をするお店へ依頼してニオイが出てきたって経験ある方もいらっしゃると思います。
どんなニオイが出ているかで洗い分けていかないと取れないだけじゃなく悪化させてしまうこともあるってことです。
今回のワキガのニオイって取ることが出来るお店とても少ないんです。
だからご相談ってダウンに限らずたくさんあり、当店でもかなりの手間かけないと軽減すらできないんです。
この工程を何度も繰り返すことで風合いや質感変化などが出る可能性も高くなること、洗うという工程がとても大変、ブランド品はタンブル乾燥で表生地が傷むため自然乾燥させていきますので、3回洗い直すと1ヶ月以上継続して手をかけていくことになります。
3回を限度として、とさせていただいている理由です。
中の羽毛までしっかり洗剤と押して洗ってくれるお店ってとても少ないと思います。
洗うのに手間がかかるだけじゃなく今回のような工程をたどると機械仕上げでは絶対に伸びないしわができるんです。
それともう一つ、表生地がウール、シルク素材など、水洗いはしないほうが良い素材もあります。
汚れやシミの状態によりやらなければ着られない事例もありますが、基本水洗いは風合いの変化がドライクリーニングよりはるかに出やすい洗い方法となります。
勘違いしないでほしいのは、羽毛協会で言われた羽毛が傷む原因、羽毛から異臭が出てくる原因はドライクリーニングという事は間違いではないということ。
羽毛の特性上、説明を聞けばなるほど、間違いないねって納得できる内容でしたから。
だからこそ、何度洗っても羽毛を傷めない、ニオイも出てこない新しいドライクリーニングを考え、作ることができたんです^^