おしゃれ工房You友(ゆうゆう) 大友 眞吾です。
いつもなら最初は参考価格から始まるのですが、今回金額は内緒!(笑)
お見積もりした内容の仕事とかなり違った仕事になったからです。
お客様とのご相談で、このブラウス?シャツ?は衿の黄ばみをシミ抜きで取って、
あとは洗い指定通りのクリーニングで、とお預かりしたお洋服。
最初の画像がその洗い指定表示です。表示によると
水洗い不可のドライクリーング指定、しかも白い部分は綿なのにアイロンは低温指定。
実際に作業を進めていくと、最初の見立て通りではダメだ、って事もあるんです。、
クリスチャン・ディオールのこんなデザインのシャツ。
こういう2色(薄い色と濃い色)でデザインされているバイカラーの服は簡単に水洗いできないんです。
一番問題なのが色滲みが出る可能性が高い事。
この部分は素材はウール、ロゴ文字はプリントです。
生地が縫い合わされているため、洗ってる時には色が出てこなくても、しっかりと生地が縫い合わされているため
乾かすのに時間がかかると乾きながら色が滲んできたりするんです。
これが出ると最悪・・・
テストして大丈夫でも、条件が少しでも変わると不具合が出てしまう事ってあります。
例えば水を付けても大丈夫なのに、ほんのちょっと洗剤入れたら色が出るとか、
短時間で繊維の芯まで水分が浸透しないように洗えば大丈夫でも、
少し時間がかかって水分が浸透すると途端に色が出てくるとか、あるんです。
こんな事もありました。
プリントの品質世界一!と謳う有名なブランドブラウスの色滲み取りを依頼された時の事。
高額品で良く依頼されるブランド。表示は水洗いOKとなっているのにもかかわらずひどい色滲み。
品質表示は服の保証書です。
そこに水洗いOKと記されているので「まずは購入店へ相談してみたら」とアドバイスしたところ、
お店側からは「中性洗剤で洗ったから色が滲んだ!」とか訳のわからない事を言われ、相手にもされず嫌な思いをしたと・・・
そこで再度ご相談がありましたので当店にお送り頂きました。
私としてもお店側の対応にも腹が立っていたので、まずはどんな状態か自分で確認するようテストしました。
すると何秒以内で洗いあげれば大丈夫、何秒以上から急激に色が出始める事がわかりました。
今作られているこのブランドのプリント製品を洗う注意すべき点がわかったって事は大きい!
このテストからプリントはおそらくこんな感じで作られているな、って事が予測できました。
法律上、表示にはメーカー保証義務があるため、そのことも含めメーカーに問い合わせ、
繊維管理資格を持つ方とお話をさせて頂きました。
お客様が嫌な思いをされた事、テスト結果と私の予測を伝えたところ、見事に当たり!(笑)
色滲みは2着あり、1着はすでに取ってしまったのですが、
メーカーから「もう一着は当社で責任をもってやらせて頂きたい。」と申し出がありましたので、
お客様から了解を頂きメーカーに送らせて頂きました。
後日、お客様からは
「販売店で嫌な思いをしたことへの謝罪も含めとても丁寧な対応をして頂けた」との喜びのお電話がありました。
その後、当店にはメーカーの担当の方から
『お客様へ無事納品できたこと』
『販売店は専門店だったため、対応の悪さを厳しく注意しておきました』とご連絡を頂けました。
こういった経験一つ一つがとても良い勉強となりこの経験も一生忘れることは無いでしょう。
染料の色滲みや色移りはシミ抜きができるお店って圧倒的に少ないんです。
だから、例えばこの服を水洗いして色滲みが出てしまうと弁償になる、
あるいは縫製を外して上部分のみシミ抜きができる業者に依頼して取ってもらい、縫製していく事になりますが自腹になります。
ここまで説明すると、この服を水洗いするお店は無いって事、ご理解いただけるんじゃないかな。
他のお店と何が違うの?ってお客様から聞かれました。
個人店と大手ではやろうとしている仕事も全く違って来ているんです。
今回この記事を書こうと思ったのは、大手では絶対にできない(やらない)仕事だからです。
この仕事を宣伝して集めようとも思っていません!
最初の見積もり金額内ではできない作業内容になりましたが、当店はお見積金額の範囲を超えることは絶対に無いんです。
綺麗にするために必要だと思って勝手にやったことですから、お見積もり代金内の仕事とさせてもらっています。
どんな仕事か興味ある方は、続きをどうぞ^^
衿の変色を取ったあと、服を見ると、なんとなく白い部分全体が黄ばんでいるように見える・・・
ぱっと見はわからなかったけど、脇部分もよく見るとうっすらと汗による変色が出ている・・・
これは時間が経つともっと濃く黄ばんでくる事が目に見えている・・・
この服は、最近当店をよくご利用して頂いている若い男性のお客様の服。
当店へわざわざ持って来られるのは、長く綺麗に愛用できるお手入れをしたいからなんですよね。
上半身の白い部分も汗になっているだろうから、全体の汗を取り、色の黄ばみも直していこう。
代金を頂かないとできない作業の場合は代金がかかる旨をお伝えして了解いただいてからの作業となりますが、
こちらの判断でやって行く場合、お見積金額を超えることはなくやらせて頂いています。
まぁ、こっちが勝手にやることだから当たり前ですが・・・
浸け込んですぐ真っ白になるわけではなく時間がかかるから、水分を上に吸い上げていきます。
だからく色部分まで吸い上げない程度のところまで浸け置きします。
浸け置きしている部分とされていない部分の境目はシミ抜きで対応していきます。
縫いあわせ部分もシミ抜き、即乾燥とやって行く事で色滲みを出すことなく綺麗にすることができます。
洗いとシミ抜きを組み合わせていく事で、方法は無限大に広がっていきますがすべて手作業。
個人店でしかできないクリーニング方法です。
そして仕上がりです^^
今回の白い綿部分は蛍光灯の光を当てると白く反射しているのがわかりました。
なので漂白後により白くなるよう純白加工もして仕上げてあります。
おそらく画像では分からない黄ばみとくすみですが、白い服がなんとなくくすんだって服、皆さんあるんじゃないかな?
きっと、画像では見えなくても、あるある!!って思いながらご覧になられている方も多いはず。
ちなみにこんなアクロバット的な洗い方ができる!って自慢しているわけでもなく集めたいとも思っていません!!!!!!!!!
色んな状態があるので臨機応変に対応していますよって事、
個人店じゃないとこんな洗い方はできないよって事を見て頂ければわかってもらえるかなぁって思い載せています。
色んな技術や知識を持った職人が工夫しながら洗って行くのが個人店の良い所。
TV取材を何度もお受けさせて頂きましたが、こういう事例はカメラでは映らないし見えないので、撮っても全てボツになっています(汗)
でも、目立つシミじゃないけどシミよりたくさんある、確実に出てくる事例だから画像で映らなくてもこんな事例もこれから紹介していきたいと思います。
映らない、見えない事は言葉で説明!!さらに長いブログになるかなぁ・・・(滝汗)