2020年 2月現在 税抜き
今回のシャネルワンピース復元 35000円
状態・素材・デザイン等により工程がすべて異なりますので高額品は全てご相談、お見積もりとなります。
状態を確認後、明らかに不可能と判断した場合、一切の保証はできない事をご了承いただいたとしてもお断りさせて頂くこともあります。
どのお店でも断られるモノ、改善できないモノは通常のクリーニングで回復、復元はできません。
お送りいただく前に必ず先にお電話でご相談下さるようお願いします。
メールで画像を先にお送り頂ければ、よく詳しくわかります。
おしゃれ工房You友(ゆうゆう) 大友 眞吾です。
シャネル、ヴィトン、エルメスはとても人気のあるブランドですね。
人気というより憧れていつか欲しい・・・そんなブランドかな。
当店へ依頼してくださるお客様に共通して言えるのが、クリーニング問題(笑)
ちゃんとしたお手入れをしてもらえるのか?質感や風合い、デザインなど壊れないか・・・?
特にシャネルって裏地にシルクが使われています。
シャネルロゴ入りのシルクの裏地です。
表生地はもちろん、裏地にまで細心の注意して洗っている服もあります。
白い服の場合だと、白さを維持していくためにはどうしても水洗いが必要な素材もあるけど、
裏地により汗取りすら容易にできない服もあります。
このワンピースは全体に黄ばみと白のムラ、茶系に変色しているように見えるのはカビ。
経年で酸化変色している濃いシミも多数あります。
でも、シャネルだから簡単に諦めて破棄・・・なんて出来ませんよね。
このブログを読まれてご依頼される方がほとんどなのですが、最近だと、依頼書にダメになっても保証等は一切問いませんので・・・と書かれている事が多くなってきています。
ダメになった場合、着られるレベルまで綺麗にできない場合、代金は頂かないって開業当時から決めています。
成功報酬にすることで、お客様も依頼しやすくなると思いますし、実際やってみないとわからないモノはたくさんんあります。
「金欲しけりゃできるようになれ!」
そう自分に言い聞かせながらやってきた事が、この店をここまで育ててこれた原動力だと思っています。
だから、お客様から
「またお願いしたいから、手間代だけでも取って」、とか
「代金取らなきゃ商売にならないでしょ!」とかおっしゃっていただいたりもしますが・・・
そう言ってくださるお客様にご利用して頂けるからこそ、今の当店があるんです!
という事で・・・話が違う方向へ行きかけていますので、シャネルワンピースの復元です。
これはさすがにてこずりましたぁ・・・
取り切れずに薄く残ってしまった部分もありますが・・・
やってみないとわからないけど・・・
綺麗にできる可能性があるのなら試してみる価値はある・・・
試してみて良かった!!そんな事例です。
仕上げてる画像も撮りましたので、仕上がりが気になる方は続きをご覧ください^^
このブランドロゴはどの製品でも洗う際にシミ抜きを掛けています。
だから何年たっても、このロゴが黒ずんできたたり、黄ばんだりしてくることは無いんです。
シャネルなので裏地はシルク100%。
このロゴ部分は脱いだ時にも見えるし、ブランドロゴはパッと見て目につきますよね。
復元洗いは服の状態とか素材に応じて洗い方は変わります。
どんなにソフトに手洗いしてもドライクリーニングではできないシワがかなりできるんです。
水洗いの代金が高くなる理由の一つは仕上げがものすごく大変になるからです。
水洗い不可商品の水洗い依頼が断られるのも、こうした修復仕上げができないとそのままクレームになってしまうからです。
シミや汚れ、変色などが綺麗になっても縮み変形が出てシワシワのままではとても着られませんから。
だから、こうして裏地も綺麗にシワを伸ばしながら、裏側から仕上げていきます。
ロゴ付近から衿付近、肩、背中まで裏から表生地とのバランスを取りながら縮みや型崩れの修正仕上げをしていきます。
機械仕上げでは絶対にできない修正仕上げになります。
仕事で海外によく行かれるお客様から教えて頂いた事ですが、海外だと日本にはあまりしない風習?があったりしますよね。
食事に招かれるとコートや上着を脱いで渡すとか。だから裏地の汚れが気になるんだけど、裏地だから言い難くて・・・
確かにクリーニング店も日本の場合だと裏地だから、とかあまり重要視されないかな・・・
最近は、風合いや質感、今までならあまり気にされていなかったであろう仕上げも、気にされる方が増えてきたように思います。
もしかすると、そんな品質を求めるお客様が当店に増えてきたからかな?
時代の流れとともにカジュアル化してきましたが、それでも身だしなみは大切。
高級服を着なければいけないって事ではないんです。
清潔感はもちろんな事、大切な場面には衿がヨレていないピシッとしたスーツを着ていきたいですよね。
男にとってスーツは自分自身を語っているんです。
今も昔も身なりで判断されているって変わらないんですよね。
仕事だけではなく、例えば初めてのデートの時、相手が普段着で来たらどう思う?
おしゃれをしてきてくれたら自分に会うためにおしゃれしてきてくれたんだって嬉しく思うし、
普段着なら気も使ってくれていないって思ったりしないかな?
仕事の時もピシッとしたスーツで相手に会う事で、敬意を払っているって事が伝わるんです。
そういう気遣いもできているかどうか身だしなみから判断されているんです。
白い服って置いておくだけでも空気中の湿気に溶け込む汚れの蓄積や空気中の酸素による酸化黄変で黄ばんでいくし変色が出たりしてしまいます。
着用後にクリーニングに依頼しているのにこんな状態になってしまう主な原因は水溶性の汚れの蓄積。
クリーニングは油性系の汚れを落とすドライクリーニングと水溶性の汚れを落とす水洗いがあります。
どちらが綺麗になる?、とかではなく落とせる汚れが違うんです。
ドライと水洗いをするW洗いなど宣伝するお店もありますが、洗えるかどうかは服の作られ方次第で、どちらか片方の洗いしかできない服もあります。
このシャネルワンピースの場合だと、水洗いが難しい・・・
洗い指定も水洗い不可、ドライクリーニング指定となっています。
ドライクリーニングで汗など水溶性の汚れを落とす、汗取りドライとか勧められることも多いと思いますが、水洗いで油汚れが落ちにくいのと同じように汗取りドライをしても水溶性の汚れはかなり落ちにくいんです。
詳しい説明はまたの機会にするとして・・・
当店が汗取りドライをやっていないのも、水溶性の汚れが落ちるわけじゃない事、水溶性の汚れをある程度落とすような洗剤を使う事で色柄物のインポート製品など色が褪せたり縮みが出たりする可能性が高くなるからです。
だから、当店の場合、水溶性の汚れを落とすにはシミ抜きとドライクリーニングを組み合わせて洗っています。
ただし、シミ抜きは衿や脇などピンポイントで除去していくため全体の水溶性の汚れは落とせません。
この場合は、水洗いをして落とすという方法になりますがとても手間がかかる・・・
・縮みが出る可能性が高いのでサイズを図る
・縮まないように防縮加工、色止め加工などしてから一点ずつ手洗いをしていく
・全品自然乾燥なので乾かすだけでも屋内で3~4日干す
・型崩れや縮みを修復する修復をして仕上げる
シミ抜きなんかより縮み型崩れを元通りに修復して仕上げる技術が一番難しいんです。
想定外の縮みや変形を伴うと修復しきれない服もあります。
今回のようなカビ、長い時間を掛けて出てきた変色などはソフトに水洗いしても落とすことができないんです。
強い薬剤、強い洗いをしていかないと取れないため通常の洗いとは比較にならないくらいのリスクと手間がかかる・・・
弁償保証のリスクを掛けてまで受けない・・・ほとんどのお店で断られてしまう理由です。
当店も弁償保証のリスクを掛けてまでお受けすることはないのですが、綺麗にできる可能性があると判断できる服なら試す価値はある。
明らかに無理だろうと判断する場合、当店では受けられない状態の場合はその旨をご説明させて頂きます。
基本、ダメになった場合、代金は頂いておりませんが、お断りしてもどうしても一度試して欲しいとご依頼される場合は、代金がかかります。
ダメになってもいいと思いながらする仕事なんてないんです。
上手くできなかった時の依頼品ほど、綺麗にできた服の何倍、何十倍と手間と時間を掛け試行錯誤しながら取り組んでいるんです。
このシャネルワンピースはものすごく手間がかかりました。
後ろのカビが酷かった部分が復元洗いでは薄くなる程度。
1か所ずつシミ抜きしてみるとほぼわからなくなる程度まで取れる・・・
間を見ながら少しず取り、範囲がかなり大きいためシミ抜きが終わった後、
シミ抜き剤を残留させないよう最後にもう一度水洗い。
シミ抜き剤が残留するとシミが取れたとしてもシミ抜き剤により変色や黄変などが出てしまうからです。
手間をかけた分だけ綺麗になっていく・・・このシャネルはそんなワンピース。
復元洗いも大変だったし、シミ抜きも大変だったけど、さらにここまで型崩れを修復しながら仕上げていくのも大変だった・・・
でも手間をかけた分の綺麗になっていくのが見えるから・・・
とてもやりがいのあったシャネルのワンピース復元でした!