【洗い指定以外の工程に伴う保証について】

復元洗い等、洗い指定以外の工程を含む処理についてはクリーニングの保証対象外となります。
生地が耐え切れず溶けてしまったり、直せないほど変形してしまう等、
想定外の不具合が出てしまった場合は代金は頂かずご返品にはさせて頂いていますが、
弁償等の保証は一切できません。 それぞれ詳しく説明させて頂きますのでご了承願います。

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Max Mara(マックスマーラ)カシミヤコート風合い直し詳細説明

Max Mara(マックスマーラ)カシミヤコート風合い直し詳細説明

Max Mara(マックスマーラ)カシミヤコート
風合い直し(令和元年12月現在 税抜き)

今回のMax Mara(マックスマーラ)カシミヤコート

参考価格 1着      20000円

全体に奥まで油分補給(毛皮洗い)

カシミヤ風合い直し加工
(光沢・ヌメリ感・天然オイル・保湿成分・抗菌・防虫剤など当店で必要成分をドレッシングし吹き付け加工)

毛起こし、毛足・風合い直し(全体手仕上げ)


Max Mara(マックスマーラ)カシミヤコート風合い直し詳細説明

おしゃれ工房You友(ゆうゆう) 大友眞吾です。

Max Mara(マックスマーラ)のコート2着、風合い直しのご相談です。

クリーニングに出したら2着とも風合いが変わってしまい数年着ていないとので、この状態では着たくないからもう捨てようと思っていたとの事。

宅配でお送りし仕上がったコートをご覧になり、喜びのお電話を頂きました。すごく喜んで頂けました^^

11月頃から一気に増えたご相談がカシミヤコートの風合い直しです。

風合い直しのご相談はおしゃれ工房You友開業当初からあったのですが、ご相談内容が変わってきています。

そして風合いや質感を気にされるお客様もかなり増えてきたんじゃないかな?っと思います。

風合いや質感って使ったり洗ったりしていけば変化は必ずしていくモノ。

生きている時のカシミヤ山羊が高級カシミヤコートのような滑り感や光沢のある毛をまとっているわけではありません。

メーカーが毛に加工してあの風合いや質感を作っているんです。

Max Mara(マックスマーラ)カシミヤコート風合い直し詳細説明

加工剤は使ったり洗ったりしていけば揮発して抜けて行ったり落ちていきますし、
長年愛用していけば、水溶性の汚れは必ず蓄積していきますので必ず変化は出てきます。

水溶性の汚れとは空気中に浮遊しているチリやほこりなど、湿気の中に溶け込む汚れがあり、溶け込んだ汚れと一緒に湿気を繊維が吸い込み、乾燥すると水分は揮発して無くなるけど、溶け込んだ汚れは水溶性の汚れとして蓄積していきます。

この汚れは水洗いをしないと落とせない汚れなので、毎年クリーニングに依頼していても10年愛用していれば10年分の汚れが蓄積していることになるんです。

おしゃれ工房You友を開業した当時、カシミヤの固くなったりごわついた風合いのご相談って、こうした汚れの蓄積がほとんどだったんです。

Max Mara(マックスマーラ)カシミヤコート風合い直し詳細説明

多くはセーターやカーディガンなどニット製品が多かった記憶ですが、この場合の風合い直しは基本水洗いして水溶性の汚れを落とし、抜けている油分、保湿成分やコラーゲンなどをヌメリや艶の出るカシミヤ加工剤にドレッシングして直していきます。

カシミヤニットは変色など焼けは治りませんが、酸素結合などでくすんだり黄ばんだりしている色合いはとてもきれいになり、何より保温性が復活するため購入した時と同じようにとても風合いが良く暖かいセーターになるんです。

20~30年くらい前のカシミヤって厚くとても質が良いカシミヤが多いので、風合い復元洗いはやる価値があると思います。

コートやジャケットはニットのようなわけには行きません。

最近の風合い直しのご相談は長年愛用して蓄積した汚れ、ではなくクリーニングに依頼したら・・・ってご相談なんです。

という事で、今回はとても喜んで頂きお電話まで頂いたマックスマーラコートの風合い直し。前に紹介した時とは直し方も進化しています!

上の画像は何でこんなことしてるんだろ?など・・・

仕上げ過程も細かく画像も撮りましたので少し詳しくご説明いていきます^^


Max Mara(マックスマーラ)カシミヤコート風合い直し詳細説明

まずは最初の方の画像。以前ご紹介した時はハンガーに吊るしてスプレー加工でしたが、今はこうして人体型プレス機に着させて加工をしています。

スプレー加工は細かな粒子状の加工剤を吹き付けています。小雨に振られたとき、小さな雨粒が玉状に付着しますよね。

スプレー加工のみだと少量の加工剤が表面に薄くしか浸透しないため、仕上げ時に加工剤が足りないと感じると再度加工と手間もかかっていたんです。

Max Mara(マックスマーラ)カシミヤコート風合い直し詳細説明

そこでスチームで蒸しながら加工をしていく事を試してみると表面の付着した加工剤がスッと吸い込まれる。

浸透しさせる事ができると必要十分な加工剤を入れることができ質感、風合いも一段とよく仕上げることができるようになったんです。

Max Mara(マックスマーラ)カシミヤコート風合い直し詳細説明

次は仕上げ画像ですが、乾燥後に触ると油分が結構表面に残ってる状態。最初はちょっと多すぎ?って思いましたが・・・。

仕上げ時にスチームで蒸し毛足を起こしながら仕上げていくと表面の油分がスッと奥に入っていく・・・

スチームで蒸しながら加工していく事でより多く、深くまで加工を入れることができるようになり・・・

Max Mara(マックスマーラ)カシミヤコート風合い直し詳細説明

でも入れ込む量はこうした手仕上げした時の風合いを確認しながら何度も調節ながら作っていきました。

・・・仕上げ前にこれくらい表面に残っていれば、最後に入れ込んだ時の風合いが一番ベストかな・・・

でも、油分の抜け具合がお預かりする服によってマチマチなんですよね。

完全に脱脂され、ぱさぱさ状態もあれば、それなりに油分が残っている服もある。

何十年と愛用していたコートで復元洗いをした場合はまた異なる・・・

Max Mara(マックスマーラ)カシミヤコート風合い直し詳細説明

【古くなった油分はできれば取りさり、新しい油分やコラーゲン、保湿剤など入れ替えたいな・・・」

私が考えるメンテナンスはこんな感じで自分で試しながら、風合いや質感を見ながら少しずつ改良しながらマニュアルを作っています。

皮革クリーニングも私的には革が持っている古い油分を洗い流し新しい油分を入れる、この入れ替えが一番大切かな、と思いクリーニングを考えています。

Max Mara(マックスマーラ)カシミヤコート風合い直し詳細説明

カシミヤも元々は生きている動物の毛だから、考え方的には毛皮や皮革と同じ。生きている時の状態により近づけて維持することがメンテナンスだと思い考えています。

例えば、同じような画像が続いていますが、寝癖が付いた時、どうやって直していきます?

水分を吹き付けてからドライヤーで乾かしたり、蒸しタオルを当てたりしますよね。

髪の毛を良くブラッシングすると、艶も出てきますよね。

Max Mara(マックスマーラ)カシミヤコート風合い直し詳細説明

風合いを直す場合も同じで、抜けた油分や成分を入れるだけでは毛足まで直らないので、必要な成分を入れたら、毛足を整えていきます。

スチームは水蒸気なので、水分が入り込みます。水分と熱を入れることができるので毛足が起き上がります。

少し硬めの豚毛ブラシで起き上がった毛を解かしますが入れた蒸気も一緒に抜けていくので、もう一度スチームで蒸し、今度は柔らかな馬毛ブラシで毛並みを整えていきます。

もう一度軽く蒸し、最後に手で蒸気を払うように一方方向に毛を寝かせながら整えていきます。

Max Mara(マックスマーラ)カシミヤコート風合い直し詳細説明

これで風合い、毛足直しが一部終了・・・

この作業を袖、肩、前身ごろ一部、後ろ身ごろ一部と分けて繰り返しながら仕上げていきます。

お客様から続けてお礼のお電話を頂いた風合い直し。

12月だけで10着くらいご依頼がありましたが、ほとんどのお客様が『一番丁寧でいい方法でお願いしたい』とのご依頼でした。

コートの状態を見て、「ここまでの手を入れなくても大丈夫だと思いますよ」とご説明させてもらっても、
『できれば一番良い方法で』とご依頼されたコートもあります。

Max Mara(マックスマーラ)カシミヤコート風合い直し詳細説明

それほど大切なコートなんだなって。
だから今回はここまで画像を撮りながら仕事するのって何倍も時間がかかってしまうのですが、どんな仕事をしているのかを見て頂きたく、細かく撮りながら、詳しくご説明をさせて頂いています。

代金以上の仕事をさせてもらっていますって事が伝わったかな・・・

上の画像は裏側です。

スチームでよく蒸しながら仕上げていくと裏地が蒸気で蒸され波打つようなしわができます。

表側を一通り仕上げたら、最後に裏地の仕上げ、トルソーに着せて全体の風合いとバランスを確認します。

Max Mara(マックスマーラ)カシミヤコート風合い直し詳細説明

スーツでもコートでも襟がある服は衿のシルエットが大切。

話をするとき、顔見ながら話ししますよね。

すると確実に視界に入るのが衿です。風合いや質感も近くで話をすれば見えるしわかる・・・

一目でいい服だなってわかるのが衿じゃないかな。

Max Mara(マックスマーラ)カシミヤコート風合い直し詳細説明

一部だけ見てもわからない事があります。

全体的なシルエットとか、質感、風合いも一部を見た時と全体と通してみた時って違うんです。

女性物はスーツでもふんわりと丸みを帯び優しく仕上げるイメージで。

ブランド品は着た時の胸元のラインがとても綺麗。

服は人が着て膨らんだ時を考える、3Dデザインなのでブランド品はトルソーに着せてバランスを見て直したり、
平面(ハンガーに吊るした状態)ではどんなデザインなのかわからない服もあり、・・・

こんなデザインになってたんだって勉強させてもらいながらデザイン形成仕上げをしたりしています。

Max Mara(マックスマーラ)カシミヤコート風合い直し詳細説明

こちらは形が違う衿ですが、仕上げは一番上のボタンをはめた時、綺麗な形になるよう仕上げています。

女性物のブランド品のブラウスの場合、こんな形状の丸衿でシンプルなブラウスなのに高額なのってよく見かけます。

人が着るとどうなるって3Dで見たデザインになっていて、自然に丸みを帯びながら膨らむようなデザインになっていたりします。

表生地より裏地生地を短くすることで自然な丸みを帯びるよう仕立てられているのですが、平らにアイロン掛けて壊されると2度と直せない・・・

むかーし立体仕立てのブラウス生地にしたことあったなぁって調べるとありました!

ジルサンダー衿立体仕立てブラウスの記事はここをクリック!
2006年の記事だからおしゃれ工房You友開業当初だ!

Max Mara(マックスマーラ)カシミヤコート風合い直し詳細説明

そして全体画像。

パッと見て毛足が整い高そうなコート・・・って感じに仕上がりました。

お礼のお電話を頂いたお客様の凄い所は、風合いや質感は最初こんな感じだった!って言って頂けた後に、
色が濃くなったみたいって気が付いたところ。

良いカシミヤコートって触ると手に付くくらい油分が表面に残されています。

油分が抜けると、色が少し薄くなります。

革製品って油分が少しずつ抜けていくと白けてくるのと同じように色が薄くなるんです。

このコートの場合、油分が抜け切ってはおらず、色的には全体を見て少し上がったな(濃くなったな)って私が見てわかる程度の変化だったんです。

お礼のお電話を頂き改めて
「服の見る目が高いお客様から相談を受けているんだな」と思いました。

シミや汚れなど目に見える事は気になるけど仕上げはそれほど気にしないってお客様が多かったし、クリーニング店も同じように考えているお店が多かったんです。

当店はどんな仕事をお客様から求められているんだろ・・・?

改めて考える機会を頂けた風合い直しとお客様から頂けたお電話でした。

ご相談頂いた時に必ずご説明させて頂いていますが、新品の風合いに復元出来る訳ではありません。

とても良い風合いや光沢、ヌメリ感などはメーカーが加工剤で作っています。

生きている動物があの光沢とヌメリがある毛をまとっているわけではありませんから。

風合いや質感は使う加工剤により変わりますので、当店で使っている風合い、質感に変わります。

仕上がり後の確認方法として
「表面を指先で触って頂き、指をこすり合わせてみてください。スルスルと少し油分が付くのがわかると思います。
 私が思う良い状態です。」とご説明させて頂いております。





 
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