今回の色滲み取り参考価格 18000円(税抜き)
服の素材、色柄部分の堅牢度(定着度)により取れるモノ、取れないモノとあります。
服の素材、色の堅牢度、滲み度合いにより処理する薬剤など、状態により方法も変わりますので基本要お見積もりとなります。
おしゃれ工房you友(ゆうゆう) 大友 眞吾です。
「服を脱ぎ散らかして!」
「着ないなら吊るしっぱなしにしないで洗わなきゃ!」
成人しても、お母さんにとって子供は子供。
しょうがないねぇ・・・って色んな事をお世話してくれるものですよね!
良かれと思ってしてあげた事が裏目に出てしまう事もあります。
だから・・・お母さんをそんなに責めたりしないで欲しいなぁって・・・
娘の、息子の服を洗ってあげたら・・・
今と昔では服の作られ方も変わってきています。
水に濡れる程度で縮んだり色が滲んだりしてしまう服もあるんです。
このコートも水洗いしたら赤い色がついてしまったというご相談です。
最近お客様に良くお話しするのは、洗濯機での手洗いコースとバケツなど使って洗う本当の手洗いとの違い。
一番重要となる違い、知ってますか??
手洗いコースはソフトな洗いになりますが、風合いや質感に変化を出さないような洗いコース。
特にウール製品など縮み、水分を含んだ自重で揉まれると縮み変形が出るので、出ないような洗いコースです。
素材的には問題が出なくても、色柄は別なんです。
色付けている染料は、水溶性の染料という汚れを取れにくくしたものと同じです。
だから、ドライクリーニングでは水溶性の汚れが落ちないから色も落ちにくいけど、、水洗いすると水溶性の汚れが落ちるのと同じように少しずつ落ちていくんです。
どこまで落ちにくく染められているかにより、色の落ち具合は変わってくるのでこの辺りはメーカー次第です。
色移りの場合、干して乾かす前に洗った時の2倍程度の洗剤を入れてすぐに洗い直すとかなり取れます。
40℃~50℃程度のお湯を使うと取れは良くなります。
粉末酸素系漂白剤で取れる\って聞いたりしますが、酸素系漂白剤は色柄物に使える漂白剤。
染料の色が取れたら・・・色柄物には使えませんから、取れません!
取れるのは、染料って水とアルカリで溶け出すため、粉末酸素系漂白剤のアルカリ部分で取れてるって事です。
バケツなどを使って手早く手洗いすると、洗ってすすいで柔軟剤に浸けて・・・1~2分程度で洗いあがります。
洗濯機の手洗いコースだと30分~40分程度かかると思います。
この時間の差で、色が移ったり滲んだりしてしまうんです。
どのくらい色が定着させられているかは目で見ても触ってもわかりませんが、水に浸かっている時間が長くなるほど水溶性の染料は溶け出してくるんです。
だから、手早く手洗いなら洗える服でも、洗濯機の手洗いコースだと色が滲んだり移ったりする可能性はかなり高くなるんです。
服の質感の変化も同じく、天然繊維は水分を含むと膨張します。
水分が蒸発すると元の形に戻るように収縮します。
糸って何本もの細い位置を束ねて撚って(ねじって)一本の糸を作っていますが、水分を含んで膨張すると撚ってある糸が元に戻ろうとします。
すると、撚って丸め込まれていた先端が飛び出してきたり、素材によっては乾きながら質感が変化したりします。
水分が繊維の芯まで完全に浸透するまでには10分~15分程度かかると言われています。
芯まで浸透すると繊維の目も広がり変化だけではなく色も流れ出てきやすくなります。
水分を含んで膨張というのはどんな状態かというと・・・
例えばラーメンとかパスタを思い出してください。
食べ始めはコシがあって美味しいけど、話してたりして時間かけると伸びてコシもなくなっちゃいますよね。
ラーメンなんかスープ吸い過ぎると食べようとすると麺が持ち上がらずに切れたりします。
膨張した繊維も揉まれると伸びたり歪んだりしますので色々な変化が出てしまいます。
気がつかない程度の傷や穴まで空いていない虫食いなどがあると水洗いすることで穴が広がったり切れたりします。
クリーニング店に依頼したら穴が空いたとか経験ある方もいらっしゃるんじゃないかな。
元々気づいていない小さな傷があって、洗う事で切れたり広がったりしている可能性が大きいんです。
クリーニング店は繊維を洗うプロですので、繊維の特性とか浸透率、使う薬剤の反応、水量による分散率とか考えながら洗ったりシミ抜きしたりしています。
ウールって表面が疎水性、内側親水性という両方の特性を持つ素材ですが水洗いを繰り返すたびに疎水部分が壊れていき素材の特性も壊れていきます。
ドライクリーニングなら壊れることはないので、新品時の風合いとか質感を変えることなくお手入れができます。
汗とかニオイとかは水洗いしないと取れない、白いセーターなどは白さを維持していくために水洗いは必要となりますので、長く綺麗に愛用していきたいお洋服は基本ドライクリーニング、1~2年に1回、しまう前に水洗をと、交互に洗って行くと汗も取れ白さも維持でき長く綺麗で清潔に愛用できるようになります^^
あ、今回は赤い色から派手に色が出てきましたので、色止めをした後、赤い色部分の色抜けの身に注意して色移りを取り、残った部分は1か所ずつシミ抜きで取っていきました。
全体を完全に取れるまでやっていくと赤い色の色が白けてしまいますから・・・
受取はお母さんと娘さん一緒に来られ、観た瞬間に「わぁ!」と喜んで頂けました。
全体の白い色もかなり綺麗になりましたから^^