復元洗い参考価格(2018年 2月現在・税抜き)
ジャケット 5000円~
スカート・パンツ類 3500円~
オーダー品・ブランド品は+50%~100%
状態、素材により金額が変わりますので基本お見積もりとなります。
今回のスーツ(レーヨン・ポリエステルの混紡)
衿の黒い部分を取り外して復元洗い後に取り付け
全体毛玉取りまで 12000円
おしゃれ工房you友((ゆうゆう) 大友眞吾です。
初めての給料で買った服、プレゼントしてもらった服。取れないシミや変色など出てもう着られなないって思っても捨てることができない思い入れのある服。
お母さんが色々と探し当店を見つけ、娘さんに託して遠方からご相談に持って来られたスーツ。
30年くらい前のスーツとの事。
衿や袖口などは黒ずみと黄ばみが出ていて、画像ではよくわからないかもしれないけど、白い部分はかなり黄変が出ています。
何より、素材の関係で必ずできる毛玉がほぼ全体にできていて、薄汚れた感じがするのはその毛玉の先端が黒ずんでいるからです。
素材がレーヨンとポリエステルの混紡なのですが、この毛玉のでき方はポリエステルレーヨン混紡生地に必ずできる独特の毛玉です。
ポリエステル糸は生地を強くしたり色あせを出にくくしたり、シワにならないようにするために、などポリエステル糸が混紡することで色々なメリットが出てきます。
例えばシルク50%ポリエステル50%の場合、シルク独特の風合いを持たせながら色落ちや褪せを抑えることができ、シワにもなりにくくなり縮み変形も出にくくなる、などシルク100%と比べると数倍は長持ちする生地になります。
唯一相性が悪いのがレーヨンとの混紡。ポリエステルの糸が強いので毛玉ができると手でつまんで引っ張っても簡単には取れず、毛玉取り器などでは取れないくらい小さな毛玉ができてしまうのも特徴です。
20年、30年って想定外の不具合が起きても不思議がないくらい、長い時間です。服のシミや変色などを取っていく作業に生地が耐えられない状態になっていると破れたりしてしまいます。
それほど年月が経っていると、保険で保証、って言ってもすでに保証対象外となっています。
起きる可能性のある不具合のご説明と何かあっても保証できないというご説明をさせて頂き、できる限り綺麗に、という事でお受けしました。
お客様は仕上がりを見て
「こんな風になっちゃうの!?」っとびっくりして一言(笑)
復元洗いは、復元洗いという決まった工程をしているのではなく、服の状態と素材をみてどうしていくのがベストかを考えていくため、1点1点作業が異なります。
専門的なことをお客様に詳しく説明しても難しいですよね。だから復元洗いと総称してご説明させてもらっています。
今回は衿に付いている黒い生地は色が移ったり白けたりする可能性があるので取り外して別に洗い、仕上げ時に取り付けています。
当店の場合、他のお店では取れない、着られるようにできないという服のご相談ばかりとなってきています。
綺麗にするための工程に耐えられない状態になっていると、綺麗にすることができないんです。
見た目では判断ができない、実際にやってみないとわからない事ってありますが、できる事しかできないんです。
最近他のお店からお聞きするクレーム事故で思うのは、長年使った服の使用劣化や素材自体の寿命が来てしまっている服を、洗ったら破れたとか溶けだしたって事故。
安価なモノなら弁償してしまった方が簡単とか、直すにしてもお店負担で直すとか、これはクリーニング店がミスを認めていることになりますね。
クリーニング店の責任ではない事をどうお客様に伝えていくかが、今一番の課題なのでは。と思っています。
今回のスーツも想定外の事が起きても不思議ないくらいの年月が経っています。
生地さえ大丈夫なら綺麗にできるのですが、大丈夫じゃないかもしれない。だから、お預かりする前に色々とご説明させて頂き、保証など弁償できない事もお伝えさせて頂きます。
今回もその場でお母さんにご連絡して頂け、それでも試してみて貰いたいからとお返事を頂きお預かりしています。
もちろん、お客様の中にはそれじゃ困るって方もいらっしゃいますし、駄目になるとか保証できないとか言ってるお店へ依頼したくないとお叱りを受けることもあります。
ご説明をさせて頂いた後は、お客様のご判断次第です。
当店の場合だと、時々ある特殊な一点ではなく、ほとんどの服が無難な洗いでは綺麗にできないモノばかり。
新品弁償等のリスクを掛けてまでお受けしていないんです。
ご説明通りの不具合が出てしまった場合、おそらくどんなお店へ依頼したとしても出てしまうと思います。
今回は毛玉取りに一番時間がかかりました。
復元洗いで本体の色合いとかはめちゃくちゃ綺麗にできたのですが、毛玉の先端の黒ずみが取れず薄汚れた感が残ってしまったんです。
お客様には全体的に手でつまめないくらい小さな毛玉ができていたため、取り切れない事を伝えてはあったのですが・・・
間を見ながら毛玉を取っていき、ほぼ取り切ったら、納得のいく仕上がり(笑)
これが、こんな風になっちゃうの?!ってびっくりされた仕上がりです^^