
おしゃれ工房you友(ゆうゆう) 大友眞吾です。
今回は型崩れについてです。
本当に縮み変形などが出てしまって形が崩れているのか、あるいは機械仕上げは一定の形を作っていくため形が合わないと崩れてしまうため、機械仕上げによる型崩れなのか・・・
実は、手仕上げでも型崩れさせてしまうケースってあるんです。
凝ったデザインの服って平らにしてアイロンをかけられる部分って少ないんです。
円形の馬(仕上げ台)を使って湾曲部分歪めないように仕上げていくのはとても難しいし、崩れたりシワになっているバイヤスドレープや立体的になるような仕立て、例えば背広のエリとか、服を見て元通りのデザインに直すのってクリーニングの仕事の中で一番難しい技術です。
染み抜きはある程度やっていけばそれなりにできるけど、アイロン仕上げはそうはいかないんです。
そして一度壊されてしまうと元通りに直せなくなる服ってブランド品になるとたくさん出てきます。
なので当店では一番多い、背広のエリが立体裁断仕立てになっている場合、お渡し時にお客様にご説明しています。
立体裁断仕立てとは着ると自然に丸みを帯び立体感が出るよう、裏側の生地を短めに裁断し、裏側に表生地が引っ張られ丸みを帯びるように仕立てられているエリです。
でも、残念なことはお客様ご自身がそんな仕立てになっていることを知らないんですね・・・
お店側から説明を受けることもないらしく・・・こんな説明をしてくれるのもクリーニング店だけなんでしょう。

さて、今回はランバンのスーツジャケットです。
一番上右画像を見ると・・・形が壊れている・・・元のデザインはどんな感じだったんだろう??
そこで登場するのがトルソーです。
着せてみると一番上左画像の状態。
着せたままアイロンで仕上げていくこともあります。
左画像、確認してみるとエリは一枚生地を2重にしてデザインされていることがわかりますね。
壊れているようで、トルソーに着せてみるとおかしな状態になっていないこともわかります。
このまま着ていても何も問題はないかな。
でも両エリが少し波打った感じになっていて、裏側の生地とバランスが少し崩れているかな・・・
少し前に技術提携している「CISクリーニング」から形が壊れたというクレームのご相談をお受けしました。
お電話でのご相談でも、受け取って確認してみたらエリがぺちゃんこ、形が壊れたなどあります。
お客様からとにかく送るから一度見てほしいとお願いされる事も多いのですが、全てを送って頂くと大変な状態になってしまいます・・・
だから、送って頂く前に状態をお聞きすると、お電話口で解決できてしまうこともあるんです。
クリーニング店でもこの説明ができないお店がたくさんあるようですので・・・
ご説明です^^

お電話口で解決してしまう・・・その答えは簡単!
もう最初の画像から見ています^^
一度着てみてください、これだけです。
もちろん、納得できずにまだなんとなく・・・っておっしゃるお客様もいらっしゃいます。
だから少し補足説明をさせてもらっています。
一定の同じ形で作られる既製品はどんなお店でもほぼ問題って出ることはないんです。
出てしまうものは風合いの良いカシミヤ、シルク、最近多いのはカシミヤとシルクを混紡して独特の光沢と質感を出してある製品とか、デザイナーズブランドなど独特のデザインを作っている服。
服は人が着た時、デザイン通りの服に仕上がるよう3Dデザインされています。
人が着てふくらみが出た時、自然に形が出来上がるんですね。
だから、ハンガーなどに掛けると平面になるためデザインは壊れた感じになってしまうんです。
丸いボールとか楕円のラクビーボールって空気を抜いても平らにはならないですよね。
中に空気(人)が入り膨らむことで円形や楕円のもとの形(デザイン通り)に戻るんです。
最近だとPCで服を3Dデザインして、型紙を起こして作っていきますから、着て初めてデザイン通りになるんです。
実際、ほんとだ!って解決しているケース、結構あったりします(笑)

クリーニングCISのご相談時もエリが立体的な形になっていたので、担当の方に説明したところ、ほんとだ!って(笑)
クリーニング店の仕上げは立体的に仕上げるような機械を導入しています。
人が着た時に近い状態で仕上げていくんです。
なので、実は大手ほどこの仕上げに関しては本当に壊されることは少なかったりします。
出るとしたら縮み変形が出やすそうなデリケート素材。
乾燥時の熱により変化が出たり縮んだりします。
ドライクリーニングの洗浄力が高くてもデリケート素材は変化してしまいますね。
デザインに関しては、実は丁寧なアイロン手仕上げ!・・・
平らにならない仕立てを平らにして掛けられたり生地の目が歪んでいるのにそのまま仕上げたり・・・
多くは背広のエリですね。裏生地が短くなっているのに平らにかけて伸ばしてしまったり・・・
これされてしまうと元通りの立体裁断仕立てのエリには戻せなくなってしまいます。ただ、お客様にご説明しない限り、気が付いていないので・・・この場合はスルーしますが・・・(汗)
実際にはスーツって機械仕上げされた時点でほぼ型崩れが起きているんですよね。
あ、この辺りは・・・今回はやめておきます(滝汗)
こうしたデザインスーツの場合、女性物の方が仕上げが格段に難しくなります。
このジャケットも何気に見ていると気が付かないかもしれませんが、エリの根本、丸みを帯びている部分。
よく見ると湾曲しているのがわかります。男物のスーツのように裏がなく一枚の生地ですが、人が着るとこの湾曲によって自然な丸い形のエリになるよう仕立てられています。
インポートブランド品に多いのですが、もっと極端に湾曲したデザインになっているものたくさんあります。
持っていらっしゃる方はこれを理解して着て鏡で見てください。
なんでこのブラウス、このスーツは着るとかっこいいんだろ?とかほかの服と違って見えるのはなぜなんだろ?って思うときありませんか?
パッと見て高そうなスーツに見える「わけ」もわかると思います^^
壊されたら奇麗に治すことは難しいので・こういう服は出すお店を選んで依頼してくださいね!
あ、最後の画像ですが、エリの形はハンガーにつるした状態では作れません。
なのでこうしてエリを立ててしまうのが一番型崩れ、しわにならないと思います^^