カシミヤストール染め変え参考価格(2020年12月現在・税抜き)
幅およそ70センチ、長さおよそ180センチのカシミヤの場合
15000円~(大きさにより金額が変わります)
ブランド品は+50%~が目安
パシュミナはシワっぽさが残ってしまうものもあります。
厚手のマフラーのような織りになっている場合、形が綺麗に修復できないものがあります。
おしゃれ工房You友(ゆうゆう) 大友 眞吾です。
今回はエルメスのカシミヤストールの染め変えです^^
ストールの大きさは幅65センチ 長さ220センチでした。
筒状になっているため、生地の量は2倍あります。
仕上がりをご覧になったお客様から感想のLINEを頂けたので、まずは紹介させて頂きます♪
福岡県 M 様より
今ストールを受けとりました。
随分昔、このストールの値段に驚きながらも結婚記念日にと思い切って買ってくれた主人が
偶然居合せたのですが、2人で仕上がりに驚きました。
本当に元からこの色だったような綺麗な黒に染めて頂き、心から感謝申しあげます。
オレンジ色は素敵でしたが、やはり普段使うには何となく派手で使いこなせず、
主人にずっと申し訳ない気持ちでした。これから寒くなり、ちょうど出番が増えそうです。
今までなかなか使えなかった分、長く大切に使いたいと思います。
最後に、フサを残すのは大変だったでしょうね。
丁寧に仕上げて頂き改めて御礼申し上げます。
染める前にLINEで、何色なら染め変えができるか、どんな不具合が予想されるか、
例えば画像の房部分が絡まったり解けてきたりすると切ってリフォームするしか無いなど
やり取りをしながらお客様も納得された上で、染め変えです。
パッとみて黄色みが強いから、赤とか青とかの色目はシャープというか発色良い色目にはできないかな。
獣毛品の色抜きは当店ではしていません。
これまで、色抜きで店主自身は1枚溶かし、息子も1枚とかした経験があります
ある一定ラインを超えると瞬間にドロッって感じで繊維が溶けるんです。
繊維業界ではデトックス反応というそうで、新しい素材を作るときに使われる技法とのこと。
当店で新しい繊維は開発しませんので事故なんですけど

、でもこれがまたどこまでできるかの限界を体験でき今の技術に役立っていますので失敗は成功の素ってやつです!
という事で、エルメスカシミヤストール、染め変えです!
当店ではカシミヤでもシルクでも染めは必ず本染めしていくため、85℃以上の温度を掛け40分以上煮込むように染めていきます。
縮み変形が必ず伴うし、画像のように熱によりかなり強いシワもできます。
「カシミヤでも染められるって書いてあるのに何件も断られた」と当店へご相談が来ます。
染めることができても、この状態では使えませんよね。これを元通りに仕上げていけるのはクリーニング店しか無いと思います。
仕上げだけじゃなく風合いも大切。
クリーニングするだけでもごわつきが出るなど不具合が出やすいカシミヤです。
そんなカシミヤをクリーニングとは比べ物にならないくらいの高温で洗うように煮込んでいます。
カシミヤらしい風合いと光沢、肌触りを修復できるのもクリーニング店しか無いと思います。
染めを始めた頃、何が大変だったかって、縮んだり型くずれしたしj風合いがすごく変わってしまった服を直すこと・・・
おかげさまで、めっちゃうまくなりました(笑)
このストールは一枚ではなく筒状に縫われ2枚合わせになっています。
染めの時に必ずお伝えすることの一つに、縫製糸は基本ポリエステル糸が使われていることが多いので染まらないって事。
このエルメスのストールも内側なので見えないんですが、裏返すと元の色の縫製糸が画像のように染まらず残っています。
この縫製糸がシルク糸だと、同色で染まります。
妻がまずは簡単に一通り房をスチームで蒸しながら揃えた後、「あ^^;画像撮り忘れた!」って撮った画像です(笑)
もっとよれよれになっていましたが、この房をできるだけ絡まないように、付きっきりの手染で染めています。
こういうのって、工程だけを覚えて作業としてやっていくのと、どうして手間かけて1点手染でやっているかという意味を理解してやっていくのとでは仕事は別物ってくらい変わるんです。
きっとどんな職人も同じだと思うけど、気持ちの入り方で仕事は変わるんです。
どうしてこんな事、こんな手間をわざわざかけてやっているのかを理解してやることが大切だと思っています。
妻 「おぉ~~~ あまり絡まらず染められてよかったね!

」
健也「絡ませないように動かし方も注意したからだよ!

」
なんて言葉を聞きながら、私的には安心(笑)
意識する場所がお互い同じ。私が居なくても大丈夫だって!
スチームで繊維を蒸して蒸気をたっぷり含ませることで自然な状態に毛先が戻り、
ブラシで綺麗に整えたら蒸気を抜くことで整ったままセットすることができます。
前回紹介したカシミヤコートの風合い直しも同じようなこと書いています。
こうしたことの基本的な考え方は同じなんです。とってもシンプル。
基本的な考え方を応用していく、とても簡単な事をやっているのが当店の技術です!簡単なことしかできませんので(汗)
房を一通り解かして揃えて整えてセットして・・・
するとご覧の通り、セット終了!
店主「まだやってんの?」
妻 「じゃぁ、やってみりゃいいじゃん!」
なんて微笑ましい?会話も交わしながら楽しく仕事しています!
このエルメスストールは、息子の健也が染め、妻が仕上げています。
二人共仕事に対する考え方とか姿勢が職人のようになってきたって思っています。
何が大切なのかって事がわかってきているんだなって。
私的には、技術なんてやってりゃできるようになるって思っています。
色が抜けた服を直す色修正って、勉強してもできないって人が多いんです。
何十万とセミナー代金払って受講しているにも関わらず、です。
どうしてできないかって、見て教えてもらったことをそのまま覚えてやろうとするから。
シミ抜きも同じです。
順番にマニュアル通りにする作業工程のみを覚えても、少し難しいシミ抜きになると応用ができない。
一つひとつの作業にどうしてこの作業をやっているかを理解して初めて、シミ抜きができるんです。
よくチェーン店ではシミ抜きらしいことはされない、と言われるのも、一番はこの部分。
シミ抜きしてる人が、本当にこのシミを取ってあげたいって気持ちを持って取り組んでいるか居ないかの違いです。
高温で煮込む本染めはリスクがとても高く保証対象外となり、ご了解頂けないとお受けする事ができないんです。
機械染めではなく、1点ずつ手染めしていくのはすごく手間がかかる作業になるし効率も悪いんです。
準備から最終洗いまで1点染めるだけでつきっきりで最低2時間程度はかかる作業になります。
それでも手染めをしていくのは、こんな仕事をしてほしいって望まれる方がいるからです。
染めの場合、染まり具合も縮み変形の出具合、風合い変化も服の品質や状態に依存していきます。
特に縮み変形の出具合は日本製よりインポート製品のほうが大きく出る事が多く、
縮まないような処理をされているかいないかでかなりの差がでてきますが見た目では判断ができません。
染まり具合も繊維の状態に依存していくため、色ムラになることもあれば、実際に染まる色も繊維の状態で変わってきます。
すべてが新品を買い替えたような仕上がりにできる訳ではありませんが、できる限り新品の時のような状態に近い仕上がりにしていきたいと取り組んでいます^^