【洗い指定以外の工程に伴う保証について】

復元洗い等、洗い指定以外の工程を含む処理についてはクリーニングの保証対象外となります。
生地が耐え切れず溶けてしまったり、直せないほど変形してしまう等、
想定外の不具合が出てしまった場合は代金は頂かずご返品にはさせて頂いていますが、
弁償等の保証は一切できません。 それぞれ詳しく説明させて頂きますのでご了承願います。

   平均使用年数表はこちら   保証割合表はこちら

モンクレール(ダウン)クリーニング~羽毛製品は特殊構造・不具合の出る原因~

モンクレール(ダウン)クリーニング~羽毛製品は特殊構造・不具合の出る原因~モンクレール(ダウン)クリーニング~羽毛製品は特殊構造・不具合の出る原因~

おしゃれ工房You友(ゆうゆう) 大友 眞吾です。

おかげさまでたくさんのご相談、ご依頼品を頂き、とても忙しくさせて頂いております!
ただ・・・メールのご相談は多くなりすぎてしまい、すべての拝読、お返事が出来ない状態が続いております。

メールで画像をお送り頂きましたら、お電話を頂ければ確実です。
その場でメールを拝見させて頂きながら対応させてもらっています。

気がついたら、このブログのアクセス数も300万アクセスを超えていました!

たくさんのご訪問、本当に有難うございます!!

もう一つ・・・おしゃれ工房You友は今年の4月15日で開業10年になりました^^
10年前の2月の終わりごろ、親と折り合いが合わず、急遽独立開業をしました。

そこから1ヶ月半で今の場所を決め、工場とお店を作り開業したので、今でもこの話をすると皆さん驚かれます(笑)
もちろん、全て借金で作ったお店。今でも借金が財産の状態で頑張っています(汗)

10年たった今、知人からの褒め言葉が今の時代を反映しています。

「よく10年店を潰さずに来れたね!」


開業した当時、世界中が不景気。この業界も最悪で、今より悪くはならないだろうと言われていましたが・・・
まだまだ業界は最悪記録を更新中です(滝汗)

どの業界も同じような感じだと思いますが、0というよりマイナスからスタートして10年・・・
だからこんな褒め言葉を頂くことになったんでしょうね(笑)

当店は当店の出来ること、当店が目指す仕事をこれからも続けていきたいと思います^^


モンクレール(ダウン)クリーニング~羽毛製品は特殊構造・不具合の出る原因~モンクレール(ダウン)クリーニング~羽毛製品は特殊構造・不具合の出る原因~

さて、今回の画像は数年前にもご紹介したモンクレールの画像です。
色々とお客様からの相談をお受けしながら疑問などもお答えさせてもらっていますが、多くなってきたご相談、疑問について書きたいと思います。

ダウン製品は洗わないほうが良い、ダウンは綺麗にならないっていうのは結構前から言われています。
一番最初の画像は洗う前がありませんが・・・エリが真っ黒く汚れていました。エリだからよくありますよね。

お受けする際に、汚れを落とすと一緒に色が抜けて変化する可能性と油ジミのような感じのシミが出てくる(残る)可能性をご説明させて頂き、ご了解を頂けないとお受けできない、とご説明をさせてもらっています。

そしてエリを染み抜きして洗い上がりが一番上左画像。
点状に油シミのようなモノが出ています。ご説明した通りの状態が起きてしまったわけです。

もちろん、何事も無く綺麗になってしまうものもありますが、
クリーニング店から当店のような説明を受けたことがないとお客様から言われます。

これは素材そのものの劣化(寿命)が来てしまった状態で、今回のは樹脂(接着剤)が溶け染み出しシミとなっています。
説明するお店、しないお店に関係なく、汚れを落とせば同じ状態になってしまうということです。

モンクレールなど、購入時に一生モノなんて言われたりするようですが、
その辺りも含め、ご説明を。そしてふっくらしていた羽毛がクリーニング後に膨らまない、と言ったご相談、昨年の春先は受けてくれたダウン製品が今年は断られてしまったというご相談が増えています。

過去記事の内容と重複する部分もありますがダウンが特殊な作りとなっている内側画像も撮りましたので合わせてご説明をさせて頂きます^^

モンクレール(ダウン)クリーニング~羽毛製品は特殊構造・不具合の出る原因~モンクレール(ダウン)クリーニング~羽毛製品は特殊構造・不具合の出る原因~

ウールナイロンとコンビ、ウール100%のダウンです。
モンクレールと・・・なんだったけ?(汗)

ダウンの水洗いを宣伝しているお店でも、水洗いができないと言われる事が多いダウンです。
ダウン自体は水洗いできるけど表生地はしないほうが良い・・・

ダウンが膨らまなくなる一番の原因はドライクリーニングにより脱脂され油分が抜けてしまうからです。
でも、これはドライクリーニングするお店の技量次第でなんです。

羽毛の羽軸には少量の油分が残されており、その油分が維持できる、あるいは入れていくことで羽毛は傷むことなく綺麗に膨らみます。油分がなくなると羽毛は少しずつ粉状に壊れていくんです。

ドライクリーニングは油性系の溶剤を使って洗う方法ですが、水の粒子と比べ10分の1という小さな粒子。
水洗いなら羽軸の中まで洗剤は簡単には入り込まないのですが、ドライ溶剤は粒子が小さいので入っていくんです。

それが原因で油分が抜け切ったり溶剤の中に溶け込んだ汚れが羽軸に入り込み、溶剤は乾燥すると消えて無くなりますが溶け込んだ汚れはそのまま残るため嫌なニオイが出てきたりするわけです。

なので、羽毛協会からは、羽毛が傷んだりニオイが出てくる原因はドライクリーニングと言われるわけです。

原因がわかった事がヒントとなり、当店はドライクリーニングで残留物を洗い流し油分を入れていくシステムを独自で確立。
何度ドライクリーニングをしても羽毛は綺麗に膨くらむ新しいドライクリーニング方法で洗っています。(経営革新取得)


順番が違いましたが、トップに紹介した画像、油シミのようなシミについて。
後でダウンの作りについて画像とともにご紹介しますが、ちょっと特殊構造になっています。

この作りが断られる一番の原因となっているわけですが、冷たい外気を遮断し保温性を高めるよう、表生地の裏側にもう一枚生地を貼りあわせていたり、表面コーティングすることで生地の織りから入り込む外気を遮断したりなど多重構造になっています。

最近は薄くて軽くて暖かい!って服が増えてきましたが、内側に生地を貼り外気遮断、保温性を高める目的で同じように内側に生地をが貼ってあったり表、裏側にコーティングされたりしているものが増えています。

貼り合わせる時に使う樹脂(接着剤)もコーティング樹脂も同じ接着剤なので時間とともに溶けたり固まったりなど劣化が進んでいきます。使っていてもいなくても時間とともに劣化していく事を「経時劣化」と言い、避けられない寿命です。

染み出しは、例えばセロテープやガムテープ等貼ってあったものを剥がした時、ベトベトと糊残りしますね。
空気中の水分により接着剤が溶け出した状態なのですが、服の中で同じ状態が起こっているんです。

溶け出した時に着たり動かしたりすると表生地に浸透して染み出し、トップ左画像、油シミようにシミを作ります。
これ、かなり出ていると思いますが・・・洗わずエリが真っ黒になっているものほど出やすいです。

皮脂(油分)と汗(水分)により樹脂が溶け出しやすくなります。
長い時間蓄積させてしまうことで分解、溶解が他の部分より進むため汚れを落とすとシミが出てくるようになります。
当店では説明はさせてもらっていますが、改善できるものは画像のように取っています。

セロテープやガムテープの糊残りをそのまま放置しておくと乾いてパリパリになり、爪でコリコリすると簡単に剥がれてきます。
樹脂が溶け出しても、そのまま気が付かずに放置しておくと同じように乾いて固まります。

この状態で洗ったりすると、接着が剥がれ気泡のようなポコポコとした浮きが出てきたりします。
マッキントッシュのゴム引きコートなどは、溶けて固まり、を繰り返すことで少しずつパリパリとした固い感じになっていきます。
ゴム引きの場合、元に近い風合いに直すことが出来るものもありますので、お困りの方はご相談を^^

いずれも、使う素材の寿命(劣化)ということです。
クリーニングの保証基準では、生地の貼りあわせ(ボンディング加工)、樹脂コーティングの耐用年数は2年、ゴム樹脂加工は3年と、昨年の10月頃に改定されましたので、これをきっかけに高額羽毛製品を断るお店が増えてきたんだと思います。

モンクレールなど、お客様からは購入時、一生モノって勧められたとか何度かお聞きしていますが・・・
寿命が来る素材を使い作られたら・・・一生どころか数年程度の寿命となります。

クリーニング店の技量以前に、使う材料の質の問題です。
インポート製品は作る国の気候にあわせて材料も選ばれるため、高温多湿の日本に合わないと高額品でも本当に2年程度で使えなくなったりしてしまうことがあります。


ダウンの構造が特殊とか多重って言われてもわかりにくいと思いますので画像を撮りました。
それでも少しわかりにくいかな(汗)


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まずは左画像から。
奥に少し違った白い生地が見えていますね。黒い色も見えています。

表生地は白も黒も使われていないんです。

縫い目が見える白い部分の表側は赤です。見て分かる通り、赤い表生地の裏側に白い生地が貼り付けられています。
緑色の内側が黒かな・・・これが生地の貼り合わせ、「ボンディング加工」です。

でも不思議なのは内側を見ても羽毛が見えませんね??
そこで右画像、奥に見えている白い部分を出してみました。

この中に羽毛が入っています。羽毛は小さな針の穴からでも飛び出してきますね。この生地は羽毛が飛び出してこないようプルーフ加工という目詰め加工がされており、羽毛はこの生地で包まれ服の中に入れられています。

薄い表生地がどこかにひっかけて破れたりしても羽毛が飛び出してこないのはこんな作りになっているからです。

多重構造のことが少しわかって頂けましたか??

さらに表生地ですが、ナイロン、ポリエステルにしても、素材の上にコーティング加工されたり、目に見えている色も顔料染めというコーティングのような方法で色がつけられています。品質表示に書かれている「素材」をサンドウィッチ状態で加工と加工で挟んでいます。

それぞれの加工が甘かったり、プルーフ加工がされていなかったりすると着用中に羽毛が飛び出してきます。
クリーニングに依頼したら内側が羽毛だらけ、なんてこともありますね。

これはクリーニング店が下手くそ、と言うより作りの問題・・・

中には直入れと言って、表生地の内側にそのまま羽毛が入れられているモノもあります。
表生地の裏側にコーティング加工をし、羽毛が飛び出してくる生地の織り目を塞ぎ、縫い目も3重くらいに折り重ねて縫製することで羽毛の飛び出しを防いでいます。

この場合は表生地が敗れると羽毛が飛び出してきます。サイズ直しなど解いてする作業が難しい(羽毛が出てくるため)構造。

こうした多重な構造で作られているダウンですが、説明をするお店ってほとんどないですね。
購入するお店からは寿命が来る素材など・・・絶対聞けない内容となります(笑)

汚れを落とすと出る不具合、洗って乾燥させると出てくるシミなど・・・
お預かり事では出ていない不具合が出てくるモノもあります。

クリーニング店は想定できる事を事前に説明していく義務があり、
お客様もご自身の服ですから・・・知っておくことも大切だと思います。





 
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