藍染めハッピの色止め、年季入れ(色抜き)~不自然な赤みを取ってほしい~

You友 大友 眞吾

2016年04月20日 19:25



ハッピ和洗い・色止め・色落とし参考価格 2016年4月現在(税抜き)

法被 和洗い    (腰丈)           1000円~ 
藍染めハッピ和洗い(腰丈)          1500円~

水洗い                      +100%

シルクハッピ(腰丈)          2500円~
(基本水洗い不可。お酒等の広範囲のシミはご相談下さい)

アク抜き       腰丈 5000円 膝丈 6000円 膝下 7000円

色止め加工     腰丈 6000円 膝丈7000円  膝下 8000円
(アク抜き+染料膨張特殊色止め+樹脂止め加工)
アク抜きの際、かなり色褪せしてしまうものもあります。
詳しくはお問い合わせ下さい。)

色抜き(年期入れ) 腰丈 6000円 膝丈 7000円 膝下 8000円
年期入れは2段階 
5~6年程度,適度な年期入れ! 白け感、スレ感が出る感じ
10年以上、ガッツリ年期入れ! 藍独特の水色感が出る程度まで
(染められ方により仕上がりは変わりますので目安となります。)

色の抜け具合、スレの出具合はハッピの作られ方に依存します。
藍(インディゴ)で染められていることを前提に色止め、色抜きをして行きます。

それ以外のもので色がつけられている場合、ムラが出たり、色が変化したり等出ることがあります。
洗ったり抜いたりして出る変化は元には戻せませんので、保証対象外とさせて頂きます。





おしゃれ工房You友(ゆうゆう) 大友眞吾です。

ハッピのお問合せがとても多く、浜松祭りも近づいておりますので続けての投稿となりますがハッピです^^

まず最初にハッピの初洗い、色止め、年季入れ(色抜き)など、

本番お間に合わせできる最終受付は 4月27日 水曜日 です

お渡しは 5月2日 月曜日 となります。

最近、色目を気にされて持ってこられる方が増えてきました。
4枚の画像はどちらも藍染めとして注文して作られた新品ですが色がかなり違っています。

2段目の並べた画像を見て頂くと良くわかりますが、一枚は紺というより黒赤っぽい感じです。
この赤っぽい感じが不自然なのでってご相談が多くなりました。確かに不自然・・・
続きを読む、でこの不自然な赤がどう変わるかご紹介しています^^

あと、当店でお受けしているコースというか洗い分けの詳細をご説明させて頂きます。

和洗い
当店で和服を洗う洗い方と同じ洗い方をして行きます。とてもソフトなドライクリーニングです。
どのお店のドライクリーニングにも言えることですが、お酒など飲食による食べこぼしなどは取れません。

藍染めなど初洗い・水洗い
1点常温での手洗い(水洗い)です。使う前に一度洗っておきたい、でも自分で洗うのは心配って方はこちらのコース。昔ながらの純石鹸を使い洗っていきます。お祭りあと、お酒を浴びたり、食べこぼしのシミを付けてしまったりした場合は水洗いしないと落ちませんので、こちらのコースとなります。

アク抜き
こちらで詳しくご説明しますが、徳島の職人さんから教わった藍染めのアク抜きです。
70℃以上の高温で藍の色が出なくなるところまで洗い流していきます。
お預かり時の色が藍(インディゴ)100%で染められているハッピならそれほど色落ちが出ません。
違うもので染められていると色がかなり変化します。詳しくはこちらから^^

色止め
アク抜き後に色落ちしにくくなるよう加工をして行きます。
あまり色を落とさないでってご希望の方はこちら。
基本、植物性染料は色止めができません。当店の方法は藍玉(色の粒子)を科学的に膨らめて繊維の目から出にくくするという方法です。色を落ちにくくする方法なので確実に止まるものではありません。

年季入れ(色抜き)
適度な使用感を出すか、ガッツリ色を抜いていくかの2段階。
不自然な赤みや黒っぽい色を取りたいって方はこちら。
色は多少薄くなっても色移りを抑えたいって方も、色止めより適度な年季入れのほうが色は出にくくなります。


今年はご相談がとても多くなり、特に町内での口コミで持ってこられた方が多かった!
年季入れは私と息子二人でレシピを考え、息子がマニュアルを作っていきましたので、増えてきたことがとても嬉しいんです!!

私は子供の頃、北寺に住んでおり、妻も実家が駅南だから、
お祭りの中心となる駅周辺、駅南まで妻が毎週集配しておりますので集配ご希望の方はお気軽にお電話を^^

さて、続きを読む はアク抜きと色止めの違いと上画像のような不自然な赤みが取れるのか・・・
興味のある方は続きを読んでくださいね^^


まずはアク抜きから。左画像は処理中の温度です。
処理中も70℃以上の温度をキープできるよう80℃程度まで上げアク抜きをして行きます。

藍(インディゴ)で染められているものなら1~2回で色はほぼ出なくなります。
この時出てくる色は紺ではなく黄色っぽい色です。

右画像はちょっと混ざっていますが黄色っぽい色が出ています。最初はこんな感じの色が出てきますが、
違う何かで色がつけられていると・・・



藍(インディゴ)の色が出なくなったあと、紺色がどんどん出てきます。
色が付かなくなるように洗い流していく場合、この紺色も取っていかないと止まらないんですね。

何百枚もこうして手作業でやってきていますので、見ればおよその見当がつく・・・
洗ってみると見当から確信に変わります。当店でする説明ができるお店はおそらく無いでしょう。

上左画像は画像上は見てわかるように途中工程の液を残しておいたもの。
4回高温処理を繰り返した画像が下側。まだ青色が少し出ていますが透明度の違いが良くわかります。

アク抜き方法は徳島の職人さんから教えて頂いたことを参考に高温処理をしていますが、藍(インディゴ)ではない何かを取っていくのはアク抜きではなく洋服などの染料を洗い流すソーピングのような方法になっています。

色をなるべく落とさないようにアク抜きする場合はアク抜きの作業のみをして行きます。
色落ちしても色がつかないようにって場合はアク抜きの次までやっていきます。

やっていきます、と言うか、やらないと色がかなり出ると思います。
なのでアク抜きのみの場合、他の何かが付けられていると、雨などに降られると下襦袢など染まってしまうのでは・・・

色止めはこの作業の後に、さらに藍玉と言う染めている色の粒子を膨らめて繊維の目から出にくくするという加工をして行きます。

上右画像は洗ったあとに残った色のカス・・・
まぁ、顔料なのですが、藍(インディゴ)ではない何かの色・・・です。

新品のハッピがゴワゴワなので糊落としをして欲しいってご相談もありますが、ほとんどの場合はハリを出すための糊ではなく、表面の載せた顔料の樹脂(接着剤)による固さです。

なので、アク抜き、色落としなどでお受けし、高温処理をすると熱により接着剤が溶け出します。
接着剤が溶けたあと、乾くと固まるのですが、新品時の時より固くなります。

これは、どんなに濃い柔軟剤を付けても柔らかくなりません。なので、ここで高温処理しているからと同じことをすると着られないくらい固くなる可能性があります。

当店では、溶剤系の柔軟剤を入れ柔らかくしていきます。
粒子が水の10分の1以下の小さな粒子なので、水溶性の柔軟剤では入り込めない奥まで浸透させることができるので柔らかくなります。




最初画像の適度な年季入れを終えたハッピです^^

新品時を見た時、右側のハッピは抜けば水色が出てくると思います、とお伝えしました。
左画像は明らかに赤っぽかったので適度な年季入れをしたほうが自然な色合いが出てくると思いますとご説明。

今までやってきた感じでは、色が付かなくなるようにってご希望の場合、アク抜きではなく適度な色抜きをしたほうが自然な感じに仕上がると思います。というのも、色が不自然な場合、ほとんどが顔料を表面に乗せているからです。

この顔料とは固くならないペンキのようなモノで、色の粒子を接着剤で貼り付けています。
これをある程度均一にひどいムラを出すことなく剥がしていっているわけですが、中途半端にすると取れる部分と取れない部分の差が大きく出てしまうからです。

数多くやってきていますので、段々と表面の顔料を剥がれたあとの色がどんな感じか、わかってきました。
だから、下地がどんな色で染められているかもわかってきました^^



こうして並べると、色味は違うけど赤っぽさが抜け自然な色合いになっています。
向かって右側は新品時の風合いからしてちゃんと染められた感じのハッピでした。

なので、よく見ると右側のハッピは白と紺が細かく均一に入り混じって見えます。
それに比べ左側は均一ではなくムラッぽく、色の差が大きく出ています。

とは言え、藍染めが赤くなったり黒くなったりはしないので、こちらのほうが自然だと思います。
藍染めというのは薄い水色から始まり、色を重ねていくごとに濃くなり、紺止めというところが一番濃い状態。

色を混ぜていない天然植物性染料だから、水色から紺(藍色)以外の変化はしないんです。

でも、最近は化学藍とか人工藍という、化学的に藍の成分が作れるようになっています。
だから、藍、インディゴと呼ばれる染めのほとんどは化学藍で染められています。

この化学藍は藍色だけではなく赤青黄色と色が作れ、混ぜることで色々な色が作られるようになりました。
色を混ぜると、抜けやすい色、抜けにくい色と出てくるため、混色で染められた物を色抜きすると違う色に変化してしまうんです。

化学藍の場合、機械染めができ、一度の染めでそれなりに濃い色で染めることが出来ます。
本藍染めの深い藍色までは染められない様子。

なので、濃い紺色に簡単に染めようと思ったら・・・色を混ぜあわせて染めれば・・・
実際、まだ数点ですが、「藍」で作られたハッピの色味が変わった物があります。

天然の植物性染料と同じように機械染めすると、
この辺りの色なんだなぁ、というのが私なりにわかってきたということです。

濃くするために次の工程で違う何かを乗せている・・・
だから違う何かを取る事ができれば自然な色味になる。下地を藍でもインディゴでもいいから染めるという工程でそれなりに濃い色で染まっていれば、と言うことになります。

ちなみに、藍以外の通常のハッピの色抜きはしていません。
理由は、上で説明した通り、化学染料は色を混ぜあわせて作っていきますので、色抜きをすると抜けやすい色から抜けていくため、色が薄くなるというより違う色に変化してしまうんです。

何で染められているかは色を見ると大体の判断はつきますが、反応染料か直接染料で染められています。
直接染料はすぐに色褪せてくると思いますが、反応染料だと簡単に色は落ちません。

でも、どちらも使う前に洗わないと色がかなり出るようです。
反応染料はソーピングされていないらしく、初洗いは水洗いするだけでもかなり色が流れます。

でも、ほとんど色褪せが出ないのが反応染料です。
色が出ても濃い色が残る・・・じゃぁ染めたあと、洗い流せよって・・・

景気が悪いので・・・いろいろな事情があるのかな・・・(汗)

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