【洗い指定以外の工程に伴う保証について】

復元洗い等、洗い指定以外の工程を含む処理についてはクリーニングの保証対象外となります。
生地が耐え切れず溶けてしまったり、直せないほど変形してしまう等、
想定外の不具合が出てしまった場合は代金は頂かずご返品にはさせて頂いていますが、
弁償等の保証は一切できません。 それぞれ詳しく説明させて頂きますのでご了承願います。

   平均使用年数表はこちら   保証割合表はこちら

ウールセーター染め変え~染めリスク・40年前のセーター染め変え~

ウールセーター染め変え~染めリスク・40年前のセーター染め変え~

染め直し染め変え参考価格(2020年12月現在・税抜き)

真っ黒染めコース      4000円
素材は綿など植物性繊維のみ 仕上げ修復等は無し
色抜き、色が濃く染まらない場合の重ね染めは代金がかかります。
真っ黒染めコストを安くするためある程度の枚数を機械染めしていきます。

その他高級ブランド品など1点手染めは1万円~

ウールセーター     10000円~
カシミヤなど高級獣毛   15000円~ 

ウールコート       25000円~
カシミヤコート     35000円~

高級ブランド品は+50%~位が目安

同じウール、カシミアでも風合いや織り、縮み変形具合が違いますので基本現物を見てからお見積りとなります。

服により不具合が出やすい部分や想定されるリスクも異なりますので、あくまで目安。

実際に染めてみないとわからない部分もあり、通常では考えられない高温で煮込む作業をしていきますので一切保証はできません。

リスクをご了解いただける服のみとなりますのでよろしくお願いします。


ウールセーター染め変え~染めリスク・40年前のセーター染め変え~

おしゃれ工房You友(ゆうゆう) 大友眞吾です。

当店は基本クリーニング店ですので染めのご相談自体は染専門店ほど多くはないと思います。

が・・・最近の傾向として多くなってきたのが、染められるって宣伝しているのに断られたというご相談。

私もネットサーフィンしながらいろんなHPを見させてもらっていますが、カシミヤコートとかシルクジャケットとか本当に受けるのかな・・・?

ってHPの説明や宣伝を見て疑問に思えることはかなりあります。

染めは健也が担当していますが千着以上は染めているし私自身も同じ以上染めてきています。

染めてもらったら色移りして着られない、ムラがひどくて着られない、着られないくらい縮み変形出てしまった、風合いが完全に壊れてしまったなど・・・色々なご相談があります。

不具合が出る素材は決まっているし、縮み修復が難しい服、デザインも見れば大体の予測はできます。

だから、相談されることも皆さん同じような内容になるんです。

一切保証はしないなど説明されることでお客様もクレーム入れられなくなっているんですよね。

お客様が一番不満に思う事、怒れることって、上手く染まらないとか、着られない状態にされてしまったってことじゃないんですよね。

これは染めに限らずだけど、『お客様が納得できる説明がされないこと』が怒りの一番の原因になっていると思います。

受けなければ事故にもならないしクレームにもならないのは確かだけど。。。

できるって言ってるし宣伝しているんだから、できない理由をちゃんと説明しないとねって思うんです。

だから、服の状態とか染め替えたい色など聞いて、できない理由があればその説明をすると、
お客様はできないと断っていいるんだけど、喜んでくれるんです。

当店も出来るものもあれば出来ないものもあります。

染めもすべてが上手く染まってくれるわけではないし、見た目ではわからないことが染めてみた結果わかることもあります。

今回は40年くらい前のウールセーター、カシミヤセーターの2点の染めをご依頼頂いたお客様のウールセーター。

お客様が上手く染まってくれたらいいなぁっておっしゃっていた、カシミヤセーターはきれいに染まりましたが、
ウールセーターが残念な結果になりましたうわっ

少し前まで、染めは染料代が結構かかりコストも掛かること、1点手染めは1点染めるだけで全行程を考えると1時間半~2時間程度かかる作用になるので、代金がかかります、とお受けしていたのですが、お受けした殆どの服はきれいに染まっているため、着られない状態に染まり上がってしまった場合はご返品ということで代金を頂かない、成功報酬にしました。

だから、今回はご返品で代金はいただきませんでしたが、お客様からは「手間かけたんだから代金は取って欲しい!」と言って頂けました。

その気持を頂ければ当店としては十分。
そのかわり上手く染まらないとても良い事例としてご紹介させてもらうことができるんです。

これは染めて不具合が出ないと紹介できませんので当店にとってとても貴重な資料です^^

水洗いするだけでも出る不具合もわかりやすく出ていますので、家庭でウール製品洗う時のリスクもわかるんじゃないかな。

どんな不具合が出てたのか、気になる方は続きからどうぞ。

ウールセーター染め変え~染めリスク・40年前のセーター染め変え~

先の説明の中で書き忘れたので・・・

染める染料は素材によって違い、縫製糸にポリエステル糸(ほとんどがポリエステル)が使われているとステッチデザインのように縫製糸が染まらず残ります。この説明すらされないようなので・・・

これは当店では染まらない、ではなくどこへ依頼しても染まりません。

画像の白いものはティッシュです。染めた後に他のものへ色移りしないよう余分な染料を洗い流していきます。

このソーピング(染料の洗い流し)が甘いと着用時に色が写ったり、洗うと色移りしたりなど起きてしまうんです。

色がどのくらいしっかり定着しているかをティッシュで確認。色の堅牢度(定着力)テスト画像です。

すると、かなりしっかりソーピングしているにも関わらず色がつく・・・

ソーピングしたあとにフィックス処理(染料を繊維と結合させる事)をしているのに、色が落ちる・・・

ウールセーター染め変え~染めリスク・40年前のセーター染め変え~

原因はいくつか考えられるのですが、今回の原因は目に見えていないけど酸化による繊維の傷みかな・・・

とりあえず、これでは一緒に着た服に色が移ってしまうのでもう一度ソーピング、フィックス処理のやり直し。

すると・・・画像でもわかると思いますが部分的に赤っぽく色が変化。

黒い服とか紺系の服って衿とか赤っぽくなります。

今回は黒へ染め替えていますが、黒って染料の色はないんです。どのメーカーも赤青黄色の色の3原色を混ぜて黒を作っているんです。

着用していて赤っぽく変化するのは3色の中で青色が抜けていくためです。青が抜けると残る色が赤と黄色になるので赤っぽく~オレンジっぽい色に変化するんです。

ウールセーター染め変え~染めリスク・40年前のセーター染め変え~

今回の場合、染めているから色抜けではなく、3色の中で青系の色のみが繊維に定着していない状態です。

同じメーカーの染料を使っていても、色により染まり具合も変わるし、素材によっても染まりやすいい色、染まりにくい色って出ることがあるんです。

今回の場合だと、ちゃんと定着している部分は真っ黒に染まっており、一部のみ赤っぽくなっていますので、目に見えない状態で痛みが進んでいた部分の染まりが悪くなっているんだなって。

上画像の赤っぽい部分は左袖の上部分ですので、一番日に焼けたり紫外線にあたったりする部分ですので、間違いなく、目に見えない痛みが進んでいた部分です。

それと良く見ると小さな傷のような部分が見えます。

ウールセーター染め変え~染めリスク・40年前のセーター染め変え~

水洗いするとこうした傷や穴が出てきたりします。

ぱっとみてもわからない、ちょっと虫に食われていた部分、擦れて繊維が細くなっていたり傷になっていたりする部分があるとこうして目に見えた傷として見えたり穴があいたりするんです。

これは繊維が水を吸うと膨張して膨らむため、傷んでいたり虫に食われて糸が細くなっていたりすると切れてしまうんです。

切れてしまえば洗う前になかった穴が出現してしまうため、クリーニング店ではクレームとなってしまう事例ですね。

穴まで開かなくても、こうして傷が見えるようになることもあります。

ウールセーター染め変え~染めリスク・40年前のセーター染め変え~

これは水分を含んで繊維が膨張、水分が蒸発して消えてなくなると元の状態に通常なら戻るのですが、
傷や痛みがあると元の形状に戻りきらず傷として見えてしまうんです。

繊維は水洗いすることで膨潤、収縮をするため風合い変化も出てしまうんです。

ドライクリーニングはこの膨潤収縮がほとんど起こらないため、風合い変化が出ないんですね。

だから、風合いがよく大切に長く使いたい服はドライクリーニングしていく方が風合いは長持ちするんです。

取れない汗とか皮脂についてはそのお店の洗い方次第。
シミ抜きと上手く組み合わせて洗う事で風合いに変化出すこと無く汗も皮脂も落とす事ができます。

今回は40年以上前の服ということでしたので、酸化が進み目に見えない傷みがあったんですね。

空気中に酸素があるから、どんなに大切に使っていても無酸素状態で保管しない限り酸化(腐食)は進んでいくんです。

繊維自体が大丈夫であればもう一度染め直して見る選択肢もあるのですが、今回は繊維の傷みで色が定着しないという結論に至ったためご返品。

上手くできたことより、こうした思うようにならない経験が当店にとって財産であり誰にも教えてもらえない技術となっています。

できることしかできません。寿命が来ているモノは修復できませんから・・・

今回はうまく染まらないものもあります、という事例紹介でした^^








 
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