ウールニットコート黄ばみ取り元の色を復元参考価格(2020年3月現在・税抜き)
今回のウール2枚袷せ・刺しゅう入りニット
ウール漂白・結合酸素除去(還元) 12000円
状態により処理内容、手間が変わってくるので復元洗いは基本お見積もりとなります。
全てが同じように復元できるわけではないので、下記の説明を参考にしてください。
おしゃれ工房You友(ゆうゆう) 大友 眞吾です。
今回は過去記事であまりご紹介しなかった事例、黄ばんだりくすんだりした服の色復元です。
ご紹介しなかった理由は、画像撮っても微妙な色合いが画像ではよくわからないから・・・
TV出演させて頂いた時も、このタイプの事例はプロが撮っても分かり難く全て没になっている事例なんです(汗)
でも、明るい色の服って色がくすんできたとか黄ばみが強くなって来た、って思う経験はかなり多くの方があると思います。
肉眼だと見えるけど写真ではわからない・・・
お客様も目立つシミがあるわけでもなく、でも黄ばんだな・・・
クリーニングに依頼しても自分で洗っても回復しないと気のせいかもしれないし・・・
かなり「あるある」じゃないかな・・・
色が黄ばんでくる場合、白い服が黄ばむのと同じように何色でも黄ばんでいるんです。色が付いていると見えないだけ。
くすんだり黄ばんだりするのは真っ白の場合だと空気中の酸素による酸化黄変、
このグレーのニットコートも画像で見るだけだと特に問題ないように見えるんじゃないかな。
色刺繍があり2枚袷のウールニットなので、温水にウール洗い用洗剤と防縮剤、色止め剤を配合して浸け置きした状態の洗剤液。
緑がかった色としまい込んである服特有のニオイがしてきます。一気に洗剤が汚れたけど、ドライクリーニングでは落ちない汚れです。
という事で今回は全体のなんとなくくすんだ?黄ばんだ??っていう、画像ではなかなかわからない復元洗いです。
グレー系の色って汚れが目立ちにくい色だけど黄ばみが混じると薄汚れた感がかなり出てきますね。
洗う前と復元洗い後を2枚並べてみると違いがかなり見えましたので・・・
この「あるある!!」の経験ある方は続きを見てください^^
画像の説明はしません。見てわかると思いますので(笑)
一枚前の画像の汚れは水洗いして落ちてる汚れですので水溶性の汚れです。
何かをこぼしたとかじゃなくこの水溶性の汚れというのは目に見えていない空気中のほこりやチリなどで、空気中の水分(湿気)に溶け込む汚れです。
汚れが溶け込んだ湿気を服が吸い込み、乾燥すると湿気は揮発して無くなりますが溶け込んだ汚れは微量ずつですが蓄積していきます。
湿気に溶け込む汚れは水洗いしないと落ちないため、微量ずつの蓄積でも何年、何十年と愛用していけば質化や風合いが変わってくるほどの蓄積となるんです。
ある時突然広範囲にシミが出てきたり、綿コートなど一気に点状のシミが全体に出てくるのも水溶性の蓄積と湿気です。
湿気って気温の高い夏場だと肌を触ると濡れたような状態になっていることありますよね。
服って、湿気が多い日は、たとえ雨が降っていなくても、濡れていなくても濡れた状態と同じ状態になっているんです。
グレー系とか薄いピンク色や青系の色の場合、こうした黄ばみが出てくると酸化黄変なのか色抜けなのか判断が難しい色ってあるんです。、
例えばピンク色って赤に黄色を入れて作られている色も多いのですが、もう少し鮮やかな赤みがあった服が長い時間かけて少しずつ酸化黄変していくとピンク色になるんです。
赤っぽいようなピンク色の服が酸化により赤みが抜けていくと・・・赤みが薄くなったピンク色になる・・・
酸化による黄ばみが出るって事が赤に黄色を入れているのと同じような現象になっているという事です。
今回のグレー系の色って、無彩色と言って赤青黄の3色が均一に入っている、どの色にも偏らない色を無彩色というのですが、服が黄ばむと黄色が強くなり、結果薄汚れたような感じの色へ変化するわけです。
赤青黄の3色の中で、青系の色が抜けていくと黄色と赤が残るから、黄ばんだような、薄汚れた感のあるような色に変化するんです。
色は青、赤、黄の順で抜けていく事(抜けやすい順)が多いんです。
結果、黄ばみがプラスされても色が抜けて行っても似たような色合いに変化するって事です。
よくわかったかわからないか・・・微妙な説明になってる気がするけど(滝汗)
酸化黄変による黄ばみなのか、色落ちにより黄色みが強く出てきた変化なのか、
よくわからない色があるって事です。
色抜けにより黄ばんで見えている場合、黄ばみを取ろうとするとさらに黄色みが強くなり悪化したりします。
よくあるのが薄いピンクや、水色のブラウスの脇の汗シミで黄色っぽくなっている状態。
脇の黄ばみを取るシミ抜きをした時、色が抜けて黄ばみを作っていると、さらに色も抜け黄ばみが強くなり悪化してしまう事もある・・・
色が抜けているつもりで色補正すると、実際には色が抜けていない所へ色を足していく事になるため、
色が濃くなったり色の変化が強く出てシミのようになり悪化したり・・・
色抜けが出ている、そこに酸化による黄ばみも出ているって事もあり、その場合は酸化黄変を取り除き、色補正をして直していく事になるんです。
同業の人でも、こんな説明ができる人ってかなり少ないんじゃないかな。
原因がわからないと直すことができないんです。
『直す事ができると、予防もできるんですよね!』・・・って実はこれ、お客様から頂いた言葉なんです(笑)
少し言葉は違うけど、嬉しい言葉を頂けました^^
このニットコートの色合いはとてもきれいに戻り、とても喜んでいただけました^^
でも、全体処理で悪化してしまう場合、直す事が出来なくなることが多いので、この辺りもご説明し、ご了解いただけた場合のみお受けできる復元洗いです。