おしゃれ工房You友(ゆうゆう) 大友 眞吾です。
前回に引き続きマッキントッシュ、ゴム引きコート編です^^
クリーニングへ依頼しても断られてしまうことが多いこのコート。
断られてしまう以前に・・・依頼するのが心配だったからクリーニングに出したことがないってお聞きする事も多いですね。
まずはこのゴム引きと言う素材。日本の気候にあまり合っていないのか衿の折山部分など汗と皮脂が擦れ付く部分はボム樹脂が溶け表生地まで染みだし黒いシミが出てきたりします。
皮脂汚れは油分なので蓄積させて置くと、ゴム引き以外でも加工されている樹脂が溶け出すことがあります。クリーニングで汚れを落としていかないと長い時間、油に浸けておくのと似たような状態となり溶け出すんです。
洗わないで使われている方ほど、この溶け出しは多く見られます。
樹脂が溶け出した頃に洗うと、洗ったことが原因で表生地まへ樹脂が浸透してしまったり、色が抜け落ちたりすることがあります。
マッキントッシュクリーニング代金参考価格
7000円~(税抜)
依頼する時には出ていない、見えていないため、クリーニング店の洗い方が悪かったと言われる事例なのですが、これは使用中のスレによる色落ち、汚れによる樹脂の劣化なんですね。
でも、出てしまってからご説明してもなかなかご理解頂くのは難しいので・・・断られる原因の一つになります。
そして断られる一番の理由はこちらかな・・・
画像は品質表示ラベルです。
左は外国語表記ですが、作られた国で付けられたラベルで、右側は見ての通り日本語表記。
これらはそれぞれの国の基準により付けられている物ですが、日本の基準は世界で一番厳しい基準と言われています。
左表記の一番下の絵表記がクリーニング指定表示となりますが、左から
手洗いOK、サラシ(塩素系漂白)不可、アイロンはかけちゃダメ!、ドライクリーニング不可とされています。
で、日本語表記を見ると・・・オール☓・・・お手入れ方法は水で湿らせ固く絞った布地で拭く程度。
その際色落ちや色移りする可能性あり、となっています。
両方の品質表示ラベルが付けられている場合、基本 日本語表記に従って洗うことになります。
これは日本の法律で定められたクリーニング基準に法った(のっとった)表記となっているからです。
日本語表記以外の扱いで不具合が出た場合、作業した人の責任。
クリーニングが出来ない表示になっていて業者がクリーニングして不具合が出ると・・・業者の責任となってしまうんです。
ボタンにマッキントッシュと刻印されていますが、洗うとこの文字の色が落ちてしまうことも・・・
落ちてもまた入れることができ、入れなおすと簡単には落ちなくなります。
右画像は裏側袖付け根部分。マッキントッシュ独特の方法?で、縫製ではなく接着テープのようなもので貼り付けられています。
これ、ドライ・クリーニングすると剥がれてしまうんです。
以前、エルメスマッキントッシュコートをドライ・クリーニングしたら全て剥がれてバラバラになったことが・・・
これもまた貼り直して修復することができます。
接着修理の場合、マッキントッシュに限らずドライクリーニングでも水洗いでも剥がれないもので修復します。
マッキントッシュノこのタイプのコートを愛用している方なら良くわかると思いますが、
接着はいつか必ず剥がれてきます。それがクリーニングしたタイミングだと全てクリーニング店の責任と言われてしまうんですね。
高額品なので・・・リスクを背負ってまで洗うくらいならお断りしたほうが良い・・・
断られる一番の理由になっていると思います。
という事で、マッキントッシュクリーニングです^^
当店は1点手洗いで洗っていますので、汚れを落とすための前処理、1点手洗い工程を画像に撮りましたのでご紹介です^^
どのお洋服でもエリと袖口は全て1点ずつ手作業でシミ抜きを掛け汚れを落としています。
この工程だけでも手間がかかるため、当店は量産クリーニングが出来ないんですね・・・
直接肌に擦れる部分なので汗と擦れ付く皮脂汚れを蓄積させないよう落としていきます。
この作業を全品やっていますので、エリや袖口が真っ黒になって着られなくなってしまったって服は1着もないんです^^
素材、汚れ具合など見て作業をしていきますが、今回は超音波シミ抜きではなく、ブラシがけによる汚れ落としをしています。
色落ち、縮み、シワ等が出ないようとてもソフトな洗いとなるため、汚れている部分など洗いの前段階で汚れを落としていきます。
袖は折れ曲がる関節部分など線状に汚れている、本体も黒ずんで見える部分は汚れをブラシがけで落としていきます。
このコートをクリーニングに依頼しても綺麗にならない理由は強い機械洗いができないため、
こうした手間をかけて洗わないと汚れが落ちないからなんですね。
汚れを一通り落としたら使った薬剤を洗い流しながら、マッキントッシュに最適な洗剤を選び水洗いをしていきます。
それでも、何年も洗わず使用している場合、汚れと一緒に色も一気に落ちてしまう物があります。
マッキントッシュに限らず、色が付いている服全般に言えることですが、綿、麻製品は一度の洗いで白けてしまったりエリなど一気に色が色が抜けてしまったりなど出やすい素材。
着用中のスレなどにより色が繊維から浮いた状態となっているため落ちてしまうのですが、汚れてひどい場合は黒ずみなどのほうが目立つため、お預かり時にご説明しておかないと汚れが落ちた際、色抜けが目立つようになってしまいます。
この状態はどのお店へ依頼しても同じ・・・繊維からすると、本来無いものが付けられていますので、色も汚れと同じなんですね。
手を洗うと汚れが落ちるのと同じように定着していない色や浮いた色は洗うことで落ちてしまうんです。
そして仕上がりです^^
アイロン不可となっていましたが、あて布をして一通りアイロン仕上げています^^
長年使用するとこのコートは固くなりごわつきが出てくるようです。
クリーニングをしたあと、当店独自の加工をしていくことで風合いが蘇るコートはとても多いです^^
汚れを落とそうとして一緒に色まで落ちてしまうというのはある程度しかたがないことですが、クリーニング店から説明を聞いたことがない!っておっしゃられる方がほとんど・・・
全てがクリーニング店の責任ではない、と同業者からよくお聞きしますが、お受けする際に必要な説明はしていかないと・・・
特に色の退色は直せれればいいけど直せないとそのままクレームとなってしまいますので説明大事・・・
次回は、着用中に抜けてしまった色、接着の剥がれなどの事例をご紹介。
抜けた色はどんな高度な技術を持って洗っても直ることはありませんので・・・
マッキントッシュ、色直しをご紹介しますね^^