高額ブランド製品の色直しについて
高級ブランド品の色直しをすると純正品としてはみなさない、と言われているメーカーもあります。
エルメス、シャネル、ヴィトンは言われており、色直しをする場合は純正品を治すのではなくお客様ご自身の財産(持ち物)を治す、手を加えた場合は純正品ではなくなるということをご了解いただけた場合のみ、お受けさせていただくことになります。
エルメスキーケースリメイク(2020年9月現在・税抜き)
クリーニング&リメイク(色直しまで) 15000円(税込み16500円)
状態により金額が変わりますので基本お見積り。
表面が削れてなくなっていたり大きな破損がある場合、きれいに治すことができません。
おしゃれ工房You友(ゆうゆう) 大友眞吾です。
黒い汚れを落として綺麗にしてほしいというご依頼ですが、黒の正体は何だと思います??
ブランド品のバックやお財布のご相談は多くあるのですが、最初に赤字で書いた通り、コンプライアンスの関係で記事として載せるのはどうなのかなぁ・・・って思うところもあり・・・
でもいろんなHP見るとあまり気にせず宣伝していたりします。
TV取材依頼をお受けした時って毎回色直しまで撮っているんですがコンプライアンスの関係で・・・って言われ放映されたことなないんです。
まぁ、実際にはバックやお財布ではなく取材したいのは服の修復なのかなって思ったりもします。
あるディレクターからは色を治すとか作り直すのは形を変えてしまうから大切なものを治すとはちょっと違うかな・・・って。
皮革製品はシミがついたりお財布などは持っている部分のみ手の形に黒ずんだりするのですが、服と同じように洗いと染み抜きで綺麗に取りきるって難しいんです。
中には染み抜きまではせずそのまま色乗せてシミや汚れを隠ぺいしていくってお店もありますが、本体よりシミの色が濃かったり柔らかく良い風合いの革は質感が台無しになったりなど不具合が出てしまいます。
他で頼んだのですが質感が変わってしまっていて・・・というご相談は今でもかなり多くあります・・・
服やバック、靴など色んなものを染めていくと、色ってホント面白く、単純に混色して作るだけじゃないんだなってことに気が付いたりします。
同じ黒でも炭とかカーボンを使った黒と、赤青黄色を混色して作る黒、下地に青系や茶系の色を付け、その上から違う色を重ねて乗せいろんな色が透けて見えることで混色され黒に見えたりしているなど・・・
複雑に見える黒もあれば漆黒の黒もあるんです。もちろん同じように色を重ねていろんな色を作り出しています。
このエルメスのキーケース。
キーケースってお財布やバックと比べると言い方は悪いけど乱雑な扱いされてしまったりします。
だからすぐ汚れるし傷むのも早かったりしますよね。
では・・・最初の質問ですがこのキーケースは黒い汚れを落とそうとクリーニングするとどうなると思います??
ブランドバックやお財布に取り組み始めたころはやっているお店ってほとんどなく、疑問がいっぱいでした。
でも、どこに聞いてもわからないというか、聞ける場所がない。400キロ以上離れた姫路まで原皮から革製品を作る側のセミナーを家族全員で受講し、ヒントをもらいながらクリーニングに取り込んだり色修復する際のヒントにしたり、さらに大阪まで息子の健也と二人で作る側のセミナーに通って勉強したりしてきました。
もうこのままじゃ使わないって状態になっているご依頼品は、お客様とご相談して色を全部はがして一から作り直したりしていくことで、単純ではない不思議な感覚の色がどうなっているのかとか、下地まで直すことの難しさなど体で覚えてきました。
詳しく書いていくと超大作になるので(汗)
簡単に触りだけ(笑)
でもこんな話が聞けるお店って出会うことがないと思うので、興味がある方は続きをどうぞ^^
あ、黒ずみの答えも・・・(笑)
このキーケースがエルメスって聞いたとき、黒ずみが不自然だなって思ったんです。
不自然に思ったのはエルメスだからです。
ブランド品の色修正を始めたころ、問い合わせた際に言われたのが
「お宅のようなお店で色を塗るって行為は当社の製品のデザインを壊しているのと同じ行為」って言われたんです。
あ・・・実際はもっと礼儀をもった不快感与えないよう言葉を選ばれてのご説明でした・・・(滝汗)
色なんて赤青黄色、正確にはシアン・マゼンタ・イエローの3色で作られていますから・・・目の前にある色くらい作れるだろって思うのですが・・・
これが再現できない・・・微妙に何かが違うんです。
見る角度でちがったり光の反射角度で違って見えたり・・・
気が付くことができると、確かに壊しているって言われたら何も言えないんです。
自画自賛するけど(笑)
これをだれにも教わることもなく自分で答えを探せた自分をすごいじゃん!って思ったりしているんです!(笑)
さて、この黒ずみの答えですが、このキーケースの元の色は黒い色の上に赤い色を重ねているんです。
だから、黒ずみは手あかとか手の油がしみ込んだ、というより赤い色が剥げて下地の黒が出ていたんですね。
確かにお財布などは持つ場所のみ黒ずみが出ますが・・・
この赤色に手あかや手の油がしみ込んだだけでここまで真っ黒になるのかな?ってのが見た時の疑問。
実際に手つけてみると、汚れを落とそうと頑張るとどんどん真っ黒に汚れていくんです(笑)
知らなければ色を頑張ってはがしていることに気が付かないってことになりますね。頑張って悪化させているって。
赤青黄色を均一に混ぜていくとグレー系の色になり、さらに濃くしていくと黒になります。
混ぜて作れば、そのまま黒い色の染料ができますが、黄色い層、赤い層、青い層って色の塗膜を作って重ねて透かして見ると、色が混色されグレー系~黒系の色に見えるんです。
色彩学とか習うと当たり前に出てくることです、私はほとんどが経験から学んでいるのですが(汗)息子の健也は・・・知っていた・・・(滝汗)
いろんな色を重ね合わせることで深い味わいのある色を作ったり複雑な色に見えるようにデザインしたり・・・
私にはどのブランドがどんなコンセプトを持って作っているのかまではわかりませんが、風合いや形だけじゃなく色自体もデザインされていたりするんです。
表面に凹凸を作り、凹部分と凸部分の色を変え、表面を2色でデザインしている人気ブランド品もあります。
ヴィトンのエピですね。
このタイプ、依頼品を直そうと触って悪化させ弁償覚悟したって同業の方からヘルプがあり、修復方法教え無事納品された方もいらっしゃいました。
2色、3色で混色している色直しができないって同業の方へ教えてあげた方数名いらっしゃいます。
もう弁償するしかない・・・でもブランド品は数十万~ととても高額なんです。
その切羽詰まった気持ちは十二分に経験していますから痛いほどよくわかるんです。
でも基本、誰に教えません!これが私の財産であり当店独自の技術ですから。
このキーケースの色が黒に赤を重ねることで独特の色を出している?って・・・私にはよくわかりませんでしたが(汗)
色直しまでできないお店だと間違いなく悪化させて戻ってきます。
実は高額ブランドへ依頼したお財布、2万くらいかかったけど色あせて帰ってきたってご相談いくつも受けているんです。
クリームで拭くだけでも色あせるものもあるんです。でも色は直さないからそのまま帰ってくる・・・
でも高額なブランド品で、そのブランドに依頼しているからお客様はクレーム言えないようです。
ちなみに混色で深みある色をデザインしてある場合、当店では混色させて新品時と同じ色に復元はできません。
綺麗に残っている内側などの色に合わせて調色し塗装をしていきます。
それと今回は白いステッチ糸のもかなり汚れている、ステッチの周辺も黒くなっているため、ステッチも一緒に塗装していくという事を説明しています。
ステッチを残す場合、1mm~2mm程度の細いマスキングテープでステッチが染まらないようマスキングしますが、マスキングした跡が真っすぐ染まらず残ってしまいます。
1直線に綺麗に元の黒い色が残るため結構くっきりと目立ちます。
実際、ステッチまで染められたというご相談もお受けしていますので、残せない場合は必ずご説明、ご了解いただいてから塗装していきます。
こんな説明をさせてもらっていますが、この説明されることは無いと思います。
特に色を重ねて同じ色に再現できるお店は無いと思いますし気が付かずやっているお店がほとんどですね。
でもステッチ部分は説明がなければ依頼するお店で確認したほうがいいかな・・・
ハイブランド品だから説明をしっかり聞いて納得できるお店へご依頼を^^