日傘クリーニング参考価格(2020年11月現在・税抜き)
線状のやけ、変色復元洗い 10000円~
すべて一点手作業、状態により工程も全て違いますので基本お見積りとなりますので目安としてください。
骨の金具が古くサビが出ている場合は状態を確認後にお見積り。サビがひどい場合、生地を外さないとできない場合、クリーニング自体ができない場合もあります。
数十年前と年月が経っている場合、現物を確認しないとお受けできるかどうかの判断ができないものもあります。
色柄の日傘で色が抜けている場合はクリーニングでは直ることはありません。
復元洗い後に染め直しが必要となりますので、どうしたらよいかわからない場合、LINEから画像とともにご相談ください。
おしゃれ工房You友(ゆうゆう) 大友 眞吾です。
この2ヶ月位で多かったご相談の一つが日傘クリーニングでした。
クリーニングって言っても、洗うだけでは綺麗にできない状態の傘だけじゃなく、古い日傘がとても多かったんです。
今回の日傘も、おばあちゃんの形見の日傘とのことで初めてご来店のお客様からお受けしたご相談でした。
画像ではわかりにくい色だけど黄緑がかった色で、線状に黄色い焼けとあっちこっちにシミ、色ムラ変色などなど・・・
生地を外さないでシミ抜きとクリーニングをしていくより外したほうが綺麗にできますが・・・
この画像部分、石突きという部分なんですが、取り外しができない状態で固定されていたり接着されていたりしているものもあり、生地が外せない場合もあります。
傘を広げたときに骨と生地を留めている露先は引っ張ると外れるもの、縫い付けられているものがありますが、この部分が木製だと外さないと水分を含ませると割れたりします。
露先も外し取り付けていくとなるとその分の金額もかかってしまうので・・・基本お見積りとなります。
今回の日傘を拝見すると綿素材で薄っすらとした水色のような色目で、どころどころ大小の茶系のシミがあります。
この色も結構厄介なんです。
いろんなことを経験しながら自分で答えにたどり着いた事例の一つ。
40年~50年は経っている形見の日傘、復元洗いです。
ご説明の内容、この色が何故難しくどこへ依頼しても断られるのかも合わせて興味ある方は続きをどうぞ^^
何度もブログ記事でご紹介してきている日傘。線状に黄色く焼ける原因は閉じるときに手で握ってくるくる巻くからです。
しっかり握るほど、手の汗や汚れ、皮脂が繊維にこすりつけられるようにして付着するんです。
同時に生地の表面は摩擦により削られていくため、色柄物は表面が削られるようにして色も一緒に落ちてしまうんです。
色の濃い日傘に線状に見えるのはシミではなく色落ちになります。
これ、結構起きやすく、例えば新品の日傘を購入する際、一度広げて確認をしないとすでに薄っすらと線状に色が落ちてしまっているものあります。
線状のシミ、不明のシミもキレイに除去できました。
シミの原因ははっきり言って不明・・・
シミ、汚れを除去していくための基本を順番に試しながらシミを除去していきます。
線状の黄色いシミは手で握って巻くために付着した汚れの焼け、茶色いシミの一部はサビ、内側の黒ずみは油って事はわかりましたが。
石突きの根本に巻かれているのが陣笠(じんがさ)です。
この部分も名前があると先ほどググって知りました(笑)
生地を取り外すとこの部分も外れますが、小さいので外したら作業中に無くならないよう本体に糸で縫い付けます。
同時に同じ条件でやっていかないと色が揃わないんですが、以前本体に気を取られ不明になり全員で大捜索・・・苦い思い出があります(汗)
線状に出ていた黄ばんだ部分はこの色の場合、色抜けなのか変色、焼けによる黄ばみなのか判断が難しいんです。
この色に限らずですが、色は赤(マゼンタ)青(シアン)黄(イエロー)の3色を混ぜ合わせて作られています。
例えば黒も黒色という染料はないのでどのメーカーも赤青黄色を混ぜ合わせて黒を作っています。
赤青黄色の3色を混ぜるため、3色が均等に抜けていくわけではなく、抜けやすい色から抜けていきます。
最初に抜けていく色は青が多いので、例えば黒なら青が抜けると残る色は赤と黄色になるので、
赤っぽくなったりオレンジっぽい色になったりなど色が変わるんです。
今回の日傘の場合もこの色から青が抜けると黄色っぽくなるため、色抜けなのか焼けや黄ばみなのか、もしくは両方出ているのか・・・
まずはしみ抜きして黄ばみを除去して初めて分かるんです。
内側の骨も長年たっていると腐食しサビが出てきたりします。可動部はオイルが塗られているので洗うことでオイルが溶け出して滲み出てきたりします。
何百本と日傘の復元洗いから染め直しとやってきているので出る不具合はほぼ経験済みなので最初のご説明時にお伝えさせていただいています。
今回は黄ばみ除去してみると色抜けも起きていたので、目立たない程度に染色しています。
染色はできる物、できないものがありますので全てを綺麗に修復できるわけではありません。
今回、お客様が日傘の色を見た瞬間に笑顔になられました^^
何十年と経っていると、木製の骨は丸ごと洗うことで木が水分を吸い、乾くときにピキッとひび割れたりします。
木の表面にはニスが塗られていて、このニスも劣化していると洗うことで剥がれてきます。
生地は性抜けと言って、長年空気中の酸素に触れることで酸化腐食が進み、洗うととたんに破れたりしたりします。
これらの現象はいずれも素材自体の寿命で洗いに耐えられないほど劣化や傷みが進んでいたってことになります。
このご説明を必ずさせて頂き、寿命が来ている場合はだめになること、こうした思い出の品は保証しようにもできるものではないので、
どんな不具合が出たとしても保証対象外とさせていただくことをご了解いただけた場合のみ、お受けさせてもらっています。