虫食いお直し かけはぎでのお直し
当店から職人へ外注依頼となります。
数mm~1㎝程度 1か所6000円~
大きさに比例して金額が高くなります。
1ヶ所ずつ直していくため、複数個所の場合は直す箇所×金額となります。
おしゃれ工房You友(ゆうゆう) 大友眞吾です。
今日は当店の仕事ではないんですが、かけはぎ(カケツギ)のご紹介です。
店主はこのクリーニング業36年目になりますが、この仕事を始めた当初からずっとお願いしていたかけはぎ職人がいました。
残念なことにもう10年位になるかな、高齢のため廃業と連絡が入り・・・
地元浜松でお願いできる職人を探したところ見つからず、浜松最後の職人だったんじゃないかな。
かけはぎがどこまで綺麗に直るかは職人の腕次第って聞いてはいましたが、それから何件か宅配でお送りしてお願いしてみたけど、確かに・・・って実感できるくらい歴然とした差がありました。
お願いする際のやり取り、説明など聞いても納得ができ、仕上がりを見ると思った以上に綺麗な仕上がりのお店と出会えることが難しいかな・・・
1点手作業で手間がかかる仕事は大きな利益を出すことも難しく仕事を続けていくうえでリスクもあるんです。
私もシミ抜きや復元洗い、バックやお財布など皮革製品の染めまでと色んな修復を自分でマニュアルを作り修復してきました。
手間がかかるモノはどんどんたまり、でも自分一人しかできない仕事は自分がかたずけない限りなくならない・・・
どんなに頑張っても出来る仕事の数は決まってくるし、それ以上に自分が例えば病気や事故などで動けなくなったり死んでしまったら・・・
自分でしかできない仕事で生計を立てていたら私が死んだらこの店が無くなるだけじゃなく、家族も生活できないんです。
かけはぎをお願いしていた職人が廃業すると連絡を貰った時、当時の自分を考え思い悩んでいた事を思い出しました。
加工と思っていた内容がどんどんそれていくので・・・(滝汗)
ところで、かけはぎって知ってる??(笑)
穴を直すんだけど、どうやって直すか知ってるのかな??
というのは、傷直しで相談をお受けする際、かけはぎを結構知らない方多かったんです。
という事で、昔投稿したかけはぎ見本の画像を探してきましたので、ご説明です!
見ると金額が高額な訳も一目でわかると思います^^
傷穴修理の方法は何種類かありますが、一番綺麗に直るのがかけはぎです。
完全にわからなくなるモノも少なくないんです。
画像を見た通り、左の穴を直したのが真ん中、一番右が裏面。
スーツなど共布があればその布を、無ければポケットとかズボンの裾の折り返しなどから生地を取り、糸を一本一本解いてから、同じ織りになるように織りなおしていくんです。
織柄は同じように柄も織っていくのでストライプ柄なども元通りに直ります。
私自身も職人からの説明をずっと聞いてきていますので、直りが悪いモノ、綺麗に直るモノは生地と織りを見ればわかりますので、受付時にご説明をさせて頂いております。
最終的には職人から説明を頂き、見立てが違っていたり見落としがある場合はその都度ご連絡させて頂きます。
直りが悪い例を挙げると、黒の礼服は直した跡が見える事が多いです。
少し毛羽立ちがあると、糸を織る際に毛羽立ちまで再現が出来ず、表面の質質感が少し変わってしまうんです。
織り込んだ四角い跡が少しわかると思います。
最近多いのは表面顔料とかプリント仕上げになっているモノ。表面と裏面の織りが違っているモノです。
一枚の生地として織られている表面にプリントしたり顔料で表面のみ色づけているのですが、糸を解くと細い糸の表と裏の色が違ってしまい、これをもとの柄のように揃える事が出来ないんです。
こんな場合はもっと安価でできる縫い込みや接着芯での貼り付けなどの方が目立たなく綺麗にでき、金額も安くできます。
かけはぎ自体経験ない方が圧倒的に多いと思いますが、傷を直すために取る生地をどこから取るかも重要。
例えば一番変色や色褪せが出やすい衿のキズを直す場合、新品同様の共布とか内側に縫い込まれている、焼けとか色褪せが全く出ていない生地から糸を取り直すと、直した部分の色がもろに変わります。
これ、当たり前なんだけど、結構見ているんです。色が褪せた場所に新品時に織りが入るんだからかなり目立ちます・・・
こんな場合もかけはぎよりほかの方法の方が目立たなく直せたりしますし、相談のみでお持ち帰りでももちろんOK。
修理だけじゃなくとにかく一度見てもらいたいってお客様はたくさんいらっしゃいます。
もう一つ、薄手の生地は四角い跡が見えます。
上のかけはぎ見本の右を裏を見て頂けるとわかると思います。
糸を解いて織っているので細い糸が見え、その内側に四角いものが見えます。
これは織った糸がずれないように接着芯で固定しているのですが、生地が薄いとこの後が透けて見えるんです。
どの方法が一番綺麗に直るかは生地の織りと柄、毛羽たちなどにより変わってきます。
今回のジャケットもグレーに白いぽつぽつした色が見えていますが、同じように織り込んでいます。
ルーペで拡大しながら見て同じ柄に織り込んでいく・・・
私だともう見えないかなぁ・・・最近老眼が酷くて(滝汗)