ジリー革ブルゾン、カビ取り、革修復、染め直し~TV放映視聴された方への注意点~

You友 大友 眞吾

2016年08月04日 19:09



おしゃれ工房You友(ゆうゆう) 大友眞吾です。

BSフジ「一滴の向こう側」の放映も終わり、ホッとしています。
実は放映2日後の月曜日にブログを書いて投稿したのですが、投稿できず記事は消えて無くなってしまった(涙)
なかなか書き直しが出来ず・・・やっと書きなおして投稿です・・・

ご覧頂けたお客様からとても喜んでいただけ、TV見たとたくさんのご相談も寄せられています^^
前編放映後には、東京から持ってきました!とご来店下さった方も・・・本当に有難うございます!

前編、後編とも、YOUTUBEで視聴できます。

一滴の向こう側 前編
(クイックしみぬき、ティッシュのしみ抜き、シャネルシルクのしみ抜き、ジリーカビ取り染め直し)

一滴の向こう側 後編
(接着剤しみ抜き工程と依頼されたお客様の顔ビフォー、アフター、お母さん形見 塗縫い刺繍のタペストリーカビ取り、お客様の顔)


今回の取材はドキュメンタリー番組というだけあって、当店側は何も準備も無い状態から一気に撮影スタート!6月中頃の金曜日に取材依頼の電話があり、翌日土曜日には番組の主旨など説明を聞いて欲しいということでスタッフとチーフディレクターがご来店。

取材を受けた一番の理由は当店の宣伝ではなく、
新聞でも雑誌でも当店が出ている所を見つけるとご利用頂いているお客様がとても喜んでくれるんです。

この一言で妻も、そうだよね、受けよう!と言う事になり、取材が決まりました^^
撮影開始は翌々日の月曜日から・・・

手元にある手付けていないモノを十数点選び、ビフォーから仕上がりまでを撮影していきます、と言った流れでした。
お客様も撮影したい、集配も撮影したい、宅配のお客様、このブログも番組内で紹介していくという事ででしたがカットとなりましたぁ。

ディレクターから、3週連続でも行けるくらい良い絵が撮影でき、どこをカットしていくか会議で検討しています・・・
って感じで説明がありましたので、それだけ良いモノを出すことが出来たかなぁと思っています^^

さて、色々と??って思う、プロが見たら突っ込みたくなるような部分もあったかと思いますが(笑)
画像のジリー、120万円のブルゾンが前編に出ていました。

TVではとても簡単に見えたかもしれませんが、1ヶ月間、色々と手を掛けながら仕上げています。
そこで、少し説明補足と視聴された方への注意点を書いて行きたいと思います。

このジリーブルゾンがどんな状態だったのかは、「一滴の向こう側」HP、後編でやっていますので、
興味がありましたらご覧下さい^^


ジリーブランドは地元だと英國屋で取り扱っています。
革ブルゾンの場合、裏地がシルク無地(柄なし)がつけられている物で80万円~くらい、
今回のようにブランドシルクスカーフのような柄が入っているものは120万円~くらいが目安との事。

一番大変だったのは、このブルゾン、雨に濡れたのではなく台風時に雨漏りしてしまい、天井裏をつたった汚水が全体にかかりずぶ濡れになったもので、使えない状態になってから5~6年程度は経っていたものです。

なので、革は油分切れ起こしてパサパサ、ハンガーに吊るしてあったので肩部分などは引っ張ると破れそうな状態でした。
一度水に戻して革の繊維を膨潤させ油分と柔軟剤を入れ、弾力を戻し、油分を入れた油性溶剤に浸けこみさらに油分を入れ・・・

想定してた以上に革の状態がよくなり質感も戻りましたが、この辺りはTVでは放映されていません。
革の染色も、革に下地剤を塗りこんだあとに塗装、と2度染をしています。

皮革洗い、皮革水洗い、傷んだ皮革を修復、部分染めか全体染めなのか、など、工程により金額は変わります。

特に今回は裏地にシルク、しかも凝った柄がついています。
水洗いをすると皮革の色がシルクに移ります。このシルクも手付ける際にとても厄介・・・

実際、色止めをして洗う時には色が出てこなくても、革と密着するように裏地は付けられていますので、乾きながら所々革の色が表側に滲みシミを作っていましたので、シミ抜きで取っています。撮影はされましたが、このシーンもカットでした。

5万円、と流れたと思いますが、かなりの手間をかけて仕上げています。

それととても重要なこと・・・
水洗いをしてるシーン、私の説明でも革は水洗いできる、との部分のみが流れましたので・・・

服を洗う感覚で皮革を水洗いしてしまうとダメになってしまいます。
ガチガチに固くなったり、縮み変形が出てしまったりなど出してしまうと直してくれる業者は探しても見つからないくらい少なくなります。

それと、色も出ます。色が出ると乾いた後、ムラムラになってしまっていたり、全体の色が薄くなったりしてしまいます。

皮革専用洗剤もネットで購入できますが、私達が使うものとは別物、何より皮革に対する知識がないと事故が起きます。
扱う対象物を見て判断していきますので皮革の水洗いはやらないほうが良いでしょう。

最後に、形状記憶や樹脂溶解方法や使っている薬剤などのお問合せはお答えしかねます。
私は教える立場の人間ではなく現場の人間ですので・・・

そして、技術に関しては教えてくれる技術のある講師がたくさんいらっしゃいます。
有名講師のセミナーは高額かと思いますが、できる方はそのセミナーを受講して技術を身に着けています。

今回のTVでは、私自身が独学なので撮ったモノは全て出していいです、とお答えしていますが、
薬剤名などはディレクターの気遣いで一部モザイクがかけられていました。

技術を教えることを生業としている方もいらっしゃいますので、ちょっと浅はかだった?って思ったりも・・・

技術を身に付けたい方は、資材商に聞けばセミナー情報をもらえると思いますので、聞いて下さいね^^


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