「繊維」と「染料」の関係について
綿、麻、レーヨンなどの植物性繊維の染めには「
直接染料」「
反応染料」
ウール、カシミヤ、シルクなどの動物性繊維には「
酸性染料」 ポリエステルには「
分散染料」など、
染料にはいろいろな種類があり、
繊維によって使う染料が変わります。
ポリエステル
■基本染め変える事が出来ない繊維です。
■ほとんどの服の縫製糸にはポリエステルが使われていますが
ポリエステルは分散染料以外では染まらないため、表面に見えている
縫製糸は染まらず残ります。
例えば赤い服を黒へ染め変えると縫製糸が染まらず
ステッチデザインのように赤く残ります。
■ポリエステルを染める場合、通常の2倍以上の染め時間と温度が必要です。
※縫製糸まで同色で染める場合、金額が天然繊維の約2倍程度かかってしまいます。
■同じポリエステルでも織りにより染まりが良い物、悪い物があり濃く染まらない物もあります。
■100℃の煮沸した状態で1時間以上煮込んで染めて行きます。
熱によりかなり強いシワが全体でつき、綺麗に伸ばす事ができずしわっぽさが残ってしまう物もあります。
ポリエステルが混紡されている場合、高熱により繊維がダメに
なってしまうものもあります。その場合、温度を少し抑えて染めていきますが
濃く染まらい可能性、色落ちが早くなる可能性があります。
ドレスなど普段あまり使用されない服を染める事が多いのですが、ビーズや
スパンコールなど飾りがついている場合、熱により破損してしまう可能性があります。
破損した場合、取替えなど、リフォーム対応出来るものは
実費はかかりますが直させて頂きます。
ナイロン
■ナイロンは酸性染料で染めていきますが濃く染まらない事が多く、
例えば綿50%、ナイロン50%の混紡繊維の場合、直接染料、
もしくは反応染料で綿部分を染め、酸性染料でナイロン部分を染めていきますが
ナイロン部分が濃く染まらないため濃い黒へ染まらない可能性があります。
アクリル
■アクリルは需要が少ないため今現在は染め変えをお受けしていません。
染める染料が違う繊維が混紡されていると2度染めが必要となり金額が変わります。
綿、麻とポリエステルの混紡の場合、ポリエステル糸は退色しにくく、シラけた感じになる場合、綿麻繊維の色抜けが原因となることが多いです。
この場合、綿麻部分を染め直すことで綺麗に染まる可能性が高いです。
「染め工程」について
「直接染料」「酸性染料」
■85℃以上の温度で30分以上煮込んで染めていき、ソーピング(染料を洗い流す工程)の後
フィックス処理(色止め加工)をしていきます。 シルクでもカシミヤでも同じ工程で染めていきます。
「反応染料」
■60℃40分以上で染めていきます。
染め後に90℃~100℃の温度で20分~30分洗いますので着用時の他の服への色移りの心配もなく家庭での水洗い程度ならほとんど色落ちしません。
購入してから色の退色や色抜けが早かった服の場合、染め直すことで堅牢度がかなり上がり色は長持ちするようになります。
「染まり具合」について
染料は生地に対して均一に入り染まっていきます。
■色抜けなどで色に濃淡がある場合、濃い部分は濃く、薄い部分は薄く染まります。
※当店では出来る限り色ムラをなくすため、一度色抜きをしてから染めていきます。
■シミなどがある場合、シミの色と染める色が混色されるため、黒など濃い色以外では
シミが目立ってしまう事も多く、たとえ黒で染めても黒の中に黒いシミが残ります。
■当店ではシミが酷く着られない状態の場合、シミを綺麗に取るよう復元洗い、シミ抜きをしていきます。
シミが綺麗に取れ色を変える必要がない場合、そのまま仕上げて納品させて頂くこともできます。
■シミが取れない、色が抜けてしまった場合、染め変える事になりますが、
その場合復元洗い・シミ抜き+染め代金ではなく、染め代金のみでやらせて頂きます。
どの繊維も染まり具合は繊維の状態に依存します。
■生地に傷みが出ている部分は染まりが悪くなったり逆に染料の吸い込みが良くなり
シミのように濃く染まってしまったりする場合があります。
■紫外線、汗などにより色が褪せたり抜けたりしている場合も同じように染まりが悪くなったり
濃く染まったりする可能性があります。
■一度目はご希望の色を作り染めていきますが、色抜きをしても完全に真っ白になる事はなく
何かしらの色が残ります。
残った色に染める色が混色されるため染められない色、ご希望の色に染まらない事があります。
色ムラが酷く出てしまったり色目がかなり違ってしまった場合、黒への染め変えまでは
お見積もり金額内でやらせて頂きます。
「仕上がり」について
■古い服を染める場合、生地、縫製糸の性が抜けていて糸が切れたり生地が破れてしまう物があります。
※リフォームで修復できる物は修復していきますが実費がかかります。
■裏地にキュプラが使われている場合、シワっぽさが残ります。
■アセテート、 トリアセテートは染まりが悪くご希望の色に出来ない場合があり、
黒へ染めても黒にならない事があり、シワがとても伸びにくいためかなりシワが残る可能性があります。
染めは通常では考えられない温度を掛け染めていきますので新品を買い換えるのと同じようなわけには行きません。
熱により縮み変形、強いシワが少なからず伴います。
縮み変形が酷く出てしまった場合、多少の縮み変形が直しきれないものもあります。。
シワも同じく出来る限り伸ばしていきますが、かなり強く折れてしまったものは
シワっぽさが残ってしまう物もあります。
真っ黒染めについて
「綿 麻」繊維を対象に家庭で洗っても色落ちしにくいよう
堅牢度の高い「反応染料」で染めていきます!!
※色落ちや色褪せが早い綿製品は堅牢度が低く色落ちが早い直接染料で染められている服が多いです。
直接染料で染めるより手間こそかかりますが、堅牢度が高く染まりも良いため色ムラが出にくい染めです。
カジュアルな服も染め変えができるよう染め専用機を設置し、手間とコストを下げ
普段着にお勧め「染めのみ、仕上げ修復なし」で気軽な染め変え価格を実現しました。
価格は1点700gまで4000円(税抜き)
(重量を超えた場合、10g+80円)
染料は生地に対して均一に入り染まるものです。
部分的に色が変色していたり抜けている場合など均一に染料は入っていくため色の段差が残ります。
濃い色になれば段差は見えにくく、中間色になると色の段差はムラとなり見えるようになります。
綺麗に染めたい場合、色抜きをしてから染めていきますが色抜き代金は+1200円(税抜き)になります。
普段家庭で普通に洗っているジーンズ、シャツ、Tシャツなどはほぼそのままの状態で染め上がり
そのまま着ていただくことができると思います。
水洗い不可表示の服、手洗い等ソフト洗いをしている服は3%~5%程度の縮み変形が出てしまうものがあります。
皮革製品や金属プレートなど付属品が付いている場合で破損したら困る場合、取り外してご依頼下さい。
経年使用により繊維が傷んでいたり劣化したりしている物は染め工程中に破れなど破損してしまう場合があります。
付属品の破損、経年劣化による破れ等の破損が出てしまった場合、弁償等の保障は出来ません
今のところ破損してしまったり着られない状態で染まった服等はありませんが、新品を染めるわけではなくある程度傷みや支障が出てしまった服を染めていきます。
染めは通常では考えられない高温で染めていくため保障対象外となります。
ご了承頂けない場合、染めはお受けできませんのでよろしくお願いします。